甲田5 | ナノ


はい、忘れられた語り部≠フ廻です。

今回は本にまつわる話を語りましょう。

聖創学院附属高校で起きた出来事を。

――――

「昔からある本には、不思議な力が宿ると言われています…思いがけないほどに強く想いが込められています…もちろん、著者の切なる想いも」

僕の存在その物である『忘却の叶』も、そんな謂れがある。

「廻、この学校にある噂が流れているよな」

「ええと、幻の八番目の不思議≠ナすか?」

本来、無いはずの八番目が学校中に広まっていた。

ただ、一人を除き内容を詳しく知っている人はいない。

「廻はさ、知っているのか?」

「……知っていますよ」

「何、その間は」

「気にしない方がいいかな」

僕は武巳に言う。

放課後の学校図書館での、会話。

陽が暮れて、赤い月が見え始め、不思議な匂いは漂い、赤い空が見える。

「月が…赤い!?」

「僕のせいかな、此処は異界だよ」

「どうして!?」

「…僕とこの本が原因だよ」

武巳は僕の右手にある本を見る。

何の特徴もない蒼い表紙の本。

その本から武巳は仮説した。

「廻…もしかして幻の八番目の不思議≠ヘ廻なのか?」

「……当たりです、実はね……僕が噂の幻の八番目の不思議≠ナす」

僕は言う。

「昔の事件で、僕は異界に好かれました」

「……」

「武巳に危険が及ぶから、帰すね」

「……けるな!!」

「えっ?」

「それしきで、友達を見捨てない」

武巳は叫ぶ。

「武巳…」

僕は想う。

「廻、幻の八番目の不思議≠フ意味は?」

「意味は…僕が異界の渡し守らしいです」

「最近、神隠しが起きているのは…」

「僕に頼んできたから、送ったよ」

僕は不思議そうに笑う。

「神隠しされた生徒は」

「…異形になっています」

「……」

すると――。

「ヴォォォォ、ギャシャスィィィ」

異形たちが集まってきた。

「うわぁ!!」

「来ましたね…」

僕は苦笑いで言う

「廻ヲ捧ゲル」

「何か言ってるよ!」

「落ち着いて、武巳…うわぁ!!」

「廻!?大丈夫か!!」

襲いかかる異形たち。

「武巳…その蒼い本を異形たちに見せて」

「わ、分かった…」

武巳は言われた通りに見せる。

僕は異形たちに聞こえる声で、百物語(改)異形用を語る。

「ギャシャボヒィダル」

そう言って、異形たちは消えた。

「廻、異形たちは」

「消えましたよ」

僕たちは、異界から無事に帰還した。

――――

忘れられた語り部≠ェ語るホラー風味の話は。

古くからある本は、なにかしらの力が宿っていると謂われている

現代には分からない力…がね

異界の様子は、あまり描写が無いので、想像で書きました

ご了承ください


実はね……

100911

…………後書き…………
*後書きと云う名の反省*
5作を書き終えました
次も参加しますよ

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