はい、忘れられた語り部≠フ廻です。
今回は本にまつわる話を語りましょう。
聖創学院附属高校で起きた出来事を。
――――
「昔からある本には、不思議な力が宿ると言われています…思いがけないほどに強く想いが込められています…もちろん、著者の切なる想いも」
僕の存在その物である『忘却の叶』も、そんな謂れがある。
「廻、この学校にある噂が流れているよな」
「ええと、幻の八番目の不思議≠ナすか?」
本来、無いはずの八番目が学校中に広まっていた。
ただ、一人を除き内容を詳しく知っている人はいない。
「廻はさ、知っているのか?」
「……知っていますよ」
「何、その間は」
「気にしない方がいいかな」
僕は武巳に言う。
放課後の学校図書館での、会話。
陽が暮れて、赤い月が見え始め、不思議な匂いは漂い、赤い空が見える。
「月が…赤い!?」
「僕のせいかな、此処は異界だよ」
「どうして!?」
「…僕とこの本が原因だよ」
武巳は僕の右手にある本を見る。
何の特徴もない蒼い表紙の本。
その本から武巳は仮説した。
「廻…もしかして幻の八番目の不思議≠ヘ廻なのか?」
「……当たりです、実はね……僕が噂の幻の八番目の不思議≠ナす」
僕は言う。
「昔の事件で、僕は異界に好かれました」
「……」
「武巳に危険が及ぶから、帰すね」
「……けるな!!」
「えっ?」
「それしきで、友達を見捨てない」
武巳は叫ぶ。
「武巳…」
僕は想う。
「廻、幻の八番目の不思議≠フ意味は?」
「意味は…僕が異界の渡し守らしいです」
「最近、神隠しが起きているのは…」
「僕に頼んできたから、送ったよ」
僕は不思議そうに笑う。
「神隠しされた生徒は」
「…異形になっています」
「……」
すると――。
「ヴォォォォ、ギャシャスィィィ」
異形たちが集まってきた。
「うわぁ!!」
「来ましたね…」
僕は苦笑いで言う
「廻ヲ捧ゲル」
「何か言ってるよ!」
「落ち着いて、武巳…うわぁ!!」
「廻!?大丈夫か!!」
襲いかかる異形たち。
「武巳…その蒼い本を異形たちに見せて」
「わ、分かった…」
武巳は言われた通りに見せる。
僕は異形たちに聞こえる声で、百物語(改)異形用を語る。
「ギャシャボヒィダル」
そう言って、異形たちは消えた。
「廻、異形たちは」
「消えましたよ」
僕たちは、異界から無事に帰還した。
――――
忘れられた語り部≠ェ語るホラー風味の話は。
古くからある本は、なにかしらの力が宿っていると謂われている
現代には分からない力…がね
異界の様子は、あまり描写が無いので、想像で書きました
ご了承ください
実はね……
100911
…………後書き…………
*後書きと云う名の反省*
5作を書き終えました
次も参加しますよ