うそだ、泉が…泉が野球をやめるだなんて。

一瞬でも泉が野球を取ると思っていた自分を殴りたい。



泉は――――――…泉は俺たちのために野球を捨てようとしてんだ。




そんな中、俺は何にもできないのかな―――――















「泉っ!!お前―ー!本気で言ってんのかよ?!」



勢い余って殴りかかりそうな田島を、花井が必死に抑え込んでいた。

あの体格差で必死になんなきゃ止められないということは、田島の勢いが物凄いからだろう。





「俺は本気だ」





声の震えを止めようと、必死にシーツを握りしめている泉の白い手が目に入った。

顔を伏せてるから分からないけど、泣いているんだと思った。





「ふざけんなよ!!」









田島の一際大きい怒声に病室が一気に静まり返る。


静寂の中で、泉が掠れた声がやけに響いて聞こえた。









「……んなの、」

「んなの冗談で言えっかよ!!!!」








泉の涙交じりの大きな声にビクリとなってしまった俺の体に気付いたのか、水谷がそっと手を握ってくれた。




「大丈夫だよ、栄口」







その言葉にこくりと頷いてまた泉たちに視線を向ける。










大丈夫。







大丈夫。








そう唱える俺の心とは裏腹に、口論は激しくなっていった。























メーデーメーデー












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