医者から説明を受けたとき、ショックで目の前が吹っ飛ぶかと思った。

それぐらいの衝撃だった。









一時的な記憶障害。










一時的とはいえ、いつ記憶が戻るかも分からないそうだ。
そして、失った記憶は野球部全員。


何故か浜田だけは今も覚えている。
不服なことに。




その記憶にさえ不自然さを感じるのはこの不安定な窮地に立たされているからなのか。


それとも、浜田のことも忘れかけてしまっているのか。






病室のベッドで溜め息を吐く。

頭を打った時の念のための検査入院。



そして一番にそれが原因じゃないかと考えられたが、俺がそれを否定した。





違和感はあの時から始まっていたから。






廊下ですれ違った……――――――――短い茶髪。






あの時のことはとても鮮明に思い出せる。

胸の疼きから、ゆっくりと感じた時の流れまで。





今日は野球部全員から改めて自己紹介をされる日だ。

ミーティングの後にくるといっていたから、茜色に染まった部屋も今か今かと待ち焦がれている様だ。









アイツに会える。
一番に忘れてしまったアイツに。









夕日が眩しいとひとりごちて、ゆっくりと瞼を閉じた。



















ちがうちがうと首を振れたなら楽なのに



















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