どんどん、どんどんと完成しそうだったパズルのピースが剥がれ落ちていくように


俺の中で何かが次々と崩れていった










「泉、大丈夫か?」



ぼんやりした意識の中聞きなれた声が聞こえる。
体はふわふわとした布団と思われるものに包まれていて、ツンとアルコールの臭いがしたことからここは保健室なんだと気付く。

少しずつ瞼を開ければ想像した通り見慣れた金髪と全体的に白い部屋が見えた。




「はまだ……」





「まだ動かないほうがいいぞ。かなり強く打ったみたいだから」


打った、と言われて思い出す。体育の授業でサッカーのゴールキーパーをしていてボールが額に直撃したんだった。
思い出した途端当たった場所が痛みだし、思わず浜田を睨む。


えっ?!なんで?と目を白黒させる浜田が可笑しくて、腹を抱えて笑っているとドアがノックなしに開く。



「おーい!泉!!大丈夫か?心配したんだからなっ」

「い、泉クン大丈夫?!」


俺と同じ真っ黒な髪と透き通った蜂蜜色の髪。
そして顔を見ると心臓がズキズキと痛みだした。


あの時と、同じだ――――――…




「うっ…」
思わず、心臓を押さえる。


「「泉!!」」

駆け寄ってきた浜田と、―――――誰だ?誰なんだよ。
分からない。

やっぱり見慣れているような感じがするのに。
誰だか全然分からない。



ワカラナイ



ダレダ



オモイダセナイ



シラナイ



コンナノ





「こんなのっ!知らねーよ!!」


「いず…み…?」

困惑したように笑いながら差し伸べてくる浜田の手を払った。
頭がぐちゃぐちゃしてて、何も考えられなくて割れるように痛い。


キッ、と黒髪と蜂蜜色の小柄な二人を睨む。


頭が痛い。
さっさと消えろ。

そう言おうと口を開いたのだが、何故だか分からない、分からないけど声が出なかった。
多分、そんなことが言えない程大切な奴らだったに違いない。


けど思い出せねーんだよ!



思い出せない、どうしよう

どうしよう
どうしよう




アノコじゃわからない



だから、





しょうがないんだ




傷つけてしまったとしても




知らなきゃいけない



















「お前ら…、誰なんだよ」























ながれる血は氷の刃をも溶かす































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