遠く遠く離れていても
僕のことが分かるように
遠くの大学に行く。
その言葉を聞いたとき、俺はどんな顔をしていたんだろう。
自分でも笑えるくらい間抜けな顔だった筈だ。
「ま、まってよ!それって…」
「もう、決めたんだ。願書も出した」
ごめんね、水谷
栄口は俯いたまま顔をあげない
どうして
とは言わなかった。
栄口をみたら、それが望んだ進学ではないと分かったから。
でも
忘れたくないって思った
離れたくないって思った
忘れて欲しくないって思った
この気持ちを、思いを
思い出を。
だから、
「俺、待ってるから。約束」
約束なら
栄口はきっと破らないから
遠く遠く離れていても
僕のことが分かるように
あなたとしたたったひとつの約束
遠/く/遠/くより一部引用