一瞬周りの音が聞こえなくなって





水谷の顔が近くて





ただ近くて





何が起きているのか理解できなかった
























「…んっ、」


重ねられた唇の隙間から息を吸い込もうと栄口が口を開けるとすぐさま舌がねじ込まれる。


久々にした水谷との濃厚なキスは栄口を酔わせたらしく、最初は我に返って抵抗していたものの今はもう水谷にその薄い体をあずけていた。



「ふぁ、は…」



ちゅ、とリップ音を軽く立てて水谷は栄口の体を解放する。

お互いを繋ぐ銀糸がなんとも言い難いような雰囲気を醸し出していた。



ほぅ、と息を吐いた2人はキスの余韻に浸りながらぼそり、ぼそりと言葉を交わす。






「…栄口、ごめんね」


「…なにが?」


「また、キスしちゃった」


「…俺こそごめん。駄目ってばかり言って」


「ううん。もう禁止破んないから大丈夫だよ」


「そういえばお前今初めて破ったもんな」



はは、と笑う栄口に水谷も内心汗をかきながらあははと笑い返す。





まだあへあへと笑っている水谷に栄口はでも、と言葉をつづける。







「嬉しかったから」







急に栄口の顔が真剣になり、水谷も顔を引き締めた。





「お前がいろいろ考えて俺のために行動してるって分かって嬉しかったし、我慢してんのは俺だって同じだから…だから、その」








恥ずかしさを耐えるように栄口は顔を俯け唇を噛みしめる。










「お前がいろいろ考えてんなら、禁止令もしなくていいかなって。キス…してくれて嬉しかった、し…。」













目を見開いた水谷の顔も栄口に負けず劣らず赤く染まり、それでも水谷はその顔のままフニャッと笑った。










「栄口」



「何?」


「俺も好きだよ」





「栄口の事、俺大好きだよ!」












もう空には虹がかかっていた


































オマケ














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