「とりあえず落ち着け」


巣山に保健室まで連れてこられ、栄口はベッドになだれ込んだ。



「…ごめん、巣山」


そう言っている栄口は少しずつ落ち着きを取り戻しているようだったが、唇は未だ真っ青だった。




「授業の事は心配しなくていいから。保健室に行くって言っておいた」


「うん、ごめん…。ありがと」



瞼が重く感じ、栄口は目を閉じる。

全ての光が遮断され、栄口はほっと息を吐いた。









(栄口は水谷に捨てられたって言ってたけど…俺はそれは無いと思うな)



多分、栄口の勘違いか何かじゃないのか。


あの水谷が栄口を捨てるだなんてあり得ない。


それは自分のエゴなのだろうかと考えて巣山は思い直す。


いいや、違う。



栄口は思い込みの強い奴だから。

水谷は言葉を上手く言い表すのが下手な奴だから。


それで擦れ違ってしまったんだ。





何が起こっているかは分からない。

けれど、大切な2人の友人の支えに少しでもなれたらと、巣山は教室に向かうべく立ち上がった。








人気のない保健室を時計を探しながら見渡す。


時計の針はもうすぐ授業の終わりを示そうとしている。


眠っている栄口に布団を掛けてやり、巣山は保健室を後にした。





























2人をつなぐ架け橋

















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