Beautiful Days
※89
現パロ
高校生位で

「……」
「……」

新緑香る公園のベンチに無言で腰かける二人。
ジタンは水で濡らしてきたハンカチを、そっとスコールに渡した。

「見るな…」
「っても、なぁ…」

真っ赤に腫れたスコールの左頬をまじまじと見つめるジタン。
その視線に耐えられなくなり、スコールは頬をハンカチで隠し顔を俯ける。
冷たさが沁み、思わず顔をしかめてしまう。

「派手に叩かれたなー…つか、避けなかったのか」
「……」
「何だよ、女の子に勘違いされた系?」

どうして解るんだ…スコールは心の中で呟く。

学校での出来事。
自分はYESと言った覚えが全く無いのたが、何故かいつの間にかこの頬を叩いた女子生徒と付き合っている事になっていた(らしい)
それを否定した瞬間、思いっきり…。

女子生徒が走り去った後、茫然と立ち尽くしていた所をジタンに引っ張られ今に至る。

「スコールの事だから、ストレートに言っちゃったんだろ」
「その方が手っ取り早い」
「まぁ、そりゃそうだけど…で、何て言ったんだ?」
「……」
「また黙る…ま、いいけどねー」

ベンチに背を預けたジタンは、大きな欠伸をひとつ。
後ろの木がザアッ…と、音を立て風が葉を揺らし、周囲に心地好い空気が広がっていく。
スコールが落ち着くまでもう少しかな、そんな事を考えながらジタンは静かに目を閉じた。

「…だ」
「ん?何か言ったか??」

風にかき消される程の音量で、顔を下に向けたままスコールが呟いた。

「好きな人がいると言っただけだ」
「へぇ、それは初耳。可哀想だけど、それじゃあ仕方ないよな」
「それはお前だとも言っておいた」
「ふーん、そう…って、ええええっ?!!」

ジタンは勢い良くベンチから身体を起こすと、今度は両頬が赤いスコールが目に入った。

「じ、自分で言っておいて…て、照れるなよ!」
「…お前もだろうが」
「な…!」

んな訳あるか!一言叫んだジタンは荷物を抱え、一目散に公園から走り去る。
スコールの手にはもう温かくなってしまったハンカチが一枚。

(さて、これからどうしようか…)

ゆっくりベンチから立ち上がり、ジタンが消えた方向へ歩き出す。
大丈夫、まだ何もかも始まったばかり。


〜fin〜


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2013 5.19 UP
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