油断大敵
※589
8さんちびっこネタ

「なぁ、ジタン。これスコールだよな」
「どう見てもそうだろ、いつもとちょっと違うけどさ」
「ちょっとじゃない…」

スコールは精一杯二人を見上げる。
その姿はどう見ても3〜4歳の幼児で、ミニマムにかけられた様な…。
ただ、頭の中身はいつも通りなので見た目は子供、頭脳は…と、いうヤツである。

「あーあれかな、やっぱり」
「俺とバッツが前に食った果物?」
「そうそう、あれ。ここら辺の木によく生ってるみたい」
「おれはそのくだものをたべてないぞ」
「ん?昨日の晩飯のシチューに入れた…かも」

隠し味にな!満面の笑顔&得意気に言うバッツの目の前に、スコールはこれまた何故か一緒にミニサイズになったガンブレードを突き出す。

「うわっ!危ないって!!」
「おまえのりょうりのほうがよっぽどきけんだ!」

ガチャと、音を立て構える。
いくら小型化しても武器は武器なので、バッツは慌ててジタンの後ろに隠れた。

「まぁまぁスコール…俺達もしばらくして戻ったしさ」
「そうそう、今回隠し味程度だしそんな心配する事ない…って、それをこっちに向けない!」

暫くバッツに睨みをきかせていたが、仕方なくスコールはガンブレードを置く。
いまいち納得いかないが、騒いでもどうにもならない事は理解した。

「…なんでおまえたちはへいきなんだ?」
「この間で免疫?耐性??ってヤツがついたんじゃない?」
「わかんねーけど…そういう事だろ。ところでさ、スコール」

何故かキラキラした目のジタンは、ミニマムスコールをひょい、と持ち上げ肩車をする。

「おい、なんのまねだ」
「へっへー、普段のスコールには出来ないからな…どうよ、よく見えるだろ?」
「みえるがそんなにたかくもない」
「……」
「だよなぁ、もしかしたらもう頭一個分ぐらい足りな…ぐふっ!」

横でゲラゲラ笑うバッツの腹に、ジタンは一発拳をお見舞いする。
唸りながら大げさに倒れたバッツを置き、ジタンは肩車のまま進んで行く。

「…もういい、おろしてくれ」
「いーじゃん、子供の足じゃすぐに疲れちまうぞ」
「そうそう、俺達も大変だったし…こういう時こそ助け合わないと」

いつの間にか追い付いたバッツは呑気に言うが、当のスコールは落ち着かない。
敵が現れるかもしれないのは勿論だが、何より他の仲間に見られたくない。
絶対いじくり回されるに決まっている…。
(特にティーダあたりに)

「大丈夫だって、敵が来たら俺達にまかせろって」
「そうだよ、もっと頼れよなー」

笑い合う二人はとても力強く、そして頼もしい。
スコールはそんな姿を見ていたら、今の状況が何だか妙に可笑しくなってきた。
元凶のバッツには後でこってり指導するとして、普段人に甘えるなんて恥ずかしくてなかなか出来ない…そうさ、こんな時ぐらい…。

「こういうのもわるくない…か」
「何か言ったか?」
「いや…って、おい。なにかまえてるんだ」
「しっかり掴まってろよ、スコール」

やる気満々といったジタンは飛ばすぜ!と、勢いよく走り出す。

「おーい、ジタン。何急いでんだよ」

後ろからバッツが声をかける。

「こんなスコール珍しいからさ、戻る前に早く皆に見せなくちゃ!」
「?!!」
「そうだな!きっと驚くぜ〜」
「や、やめろぉぉ…!」

スコールの抗議の声と共に、騒がしい足音が響き渡る。

(気を許した俺が馬鹿だった…)

油断大敵、その一瞬が命取り。


〜fin〜


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2013 4.27 UP
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