12月24日〜2012ver.

※589現パロ
クリスマス小話

街がクリスマスで浮かれるイブの夜、バッツとジタンは小走りで人混みを抜けていく。
凍てつくような寒さの中、防寒対策はバッチリしてきたはずなのに体の芯から冷えそうだ。

「さみー!」
「ヤバい、五分遅刻!」

駅前にある待ち合わせスポット、女神像の前まであと数分…白い息を吐きながら二人は足を早める。
駅に近付くにつれ、更に賑わいが増してきた。
どうやら皆考える事は一緒の様で、女神像の前は人で溢れごった返している。

「スコール発見!」

モノトーンの服でも充分目立つ友人を見付け、周囲の喧騒に負けずとバッツは大声で呼ぶ。
その声に気付いたスコールは、人混みの間を器用にすり抜け二人の元へと辿り着く。

「遅い」
「「………」」
「?何だ??」

バッツとジタンの視線はスコールの顔へと向けられており、二人は笑いを堪えるのに精一杯と、口をもごもご動かしながら肩を震わせている。

「いや、だって…スコール…」
「鼻が真っ赤過ぎ…!」

せっかくのイケメンが台無し!子供くさい!と、ぎゃあぎゃあ楽しそうに騒ぐ二人にスコールは一言放ち一蹴する。

「お前らもだろう」
「え、マジで!」
「うわ、カッコ悪りィ」

手袋をはめた手で鼻を押さえとりあえず温めてみる。
またも騒ぎそうな二人を背にスコールは歩き始め、バッツとジタンは慌てて後を追う。それはとてもとても楽しそうに。



***



「うわ、凄い。でも、寒い…」
「見事なものだな」
「綺麗だなぁ」

女神像から歩くこと数分、着いた場所は公園に輝く数々のイルミネーション。
木々に飾られた色とりどりの灯りが眩い光を放ち、その光景はクリスマスに相応しく、周囲を暖かく包み込む。

「それにしても、やっぱりカップルだらけだな…どこから集まってくるのかね」

少々不満を漏らすジタンが周りを見渡すと、公園内は幸せそうな恋人達で埋め尽くされ、彼等三人は明らかに浮いた存在だった。

「まークリスマスだし、仕方ないっしょ」
「ジタンはまた今年こそ…!と、言ってなかったか?」
「…聞くなよ」

ジロッとスコールを睨み、ジタンは小さい身体を更に縮め二人の後ろに隠れる。

「おい、俺達を風避けにするなよ」
「だって、心も身体も寒いんだってば」
「だったらあれはどうだ?」

スコールが指を指した方向に、コーヒーの移動屋台が見えた。

「お、いいね!」
「行こう、行こう。このままじゃ凍え死ぬ」

駆け出すバッツとジタンを見送り、スコールはゆっくり周りの景色を楽しみながら行く事にした。

「先に店に着いたら勝ちな!最後の奴は奢れよー」
「スコール、お先ー!」

二人の声にスコールの動きが一瞬止まる。
が、次に勢いよく走り出し二人のすぐ後ろまで迫ってきた。

「…負けるか!」
「「ぎゃーっ!速い速い速い怖い…!!」」

やっぱりこういうクリスマスも悪くない。
同じ事を思いながら、三人はイルミネーションの間を走り抜ける。
ゴールまであと少し、勝者には暖かな祝杯を。


〜fin〜


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2012 12.23 UP
やっぱり仲良くメリークリスマス
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