アクアリウム
※89現パロ
あまり89が出ない89

「どうも」

ここは某所のカラオケ店、バッツは店員に軽く挨拶をし、横の階段を下りていく。

「おつかれ〜」

指定された部屋のドアを思い切り開けると、先に来ていたティーダが『お疲れっス!』と手を挙げる。
その隣には難しい顔をしたフリオニールが…どうやら、操作パネルに悪戦苦闘しているみたいだ。
二人の向かい側に座ったバッツは、ソファーに座りひと息つく。

「あれ?そういえば、スコールとジタンはどうしたんスか?」

フリオニールにパネルのレクチャーしながら、ティーダが不思議そうに聞いてきた。

「ん?あぁ、あの二人、今日はデートだってよ」
「「?!」」

思わず動きが止まるティーダとフリオニール。

「そ、そうスか…とうとう」
「あぁ、やっとだよ…」
「?」
「中々進展しないっスからね〜あの二人」
「いや、ジタンは割りと頑張っているみたいだけど…スコールがなぁ…」
「わかるっス、変なとこ固いし。もう少しかるーく考えても良いのになぁ〜って」
「そうそう」
「??」
「そうだよな〜真面目過ぎるんだよスコールは」

しみじみとするバッツとティーダ、頭の中が?で沢山のフリオニール…しばしの静寂が三人の間を流れる。

「で、どこに行ったんスか?」
「水族館…だったかな」
「良いっスね!距離縮まりそう」
「だな!よーし、二人の門出と更なる進展を願って…歌うか!」
「俺達の応援届けるっスよ〜!ほら、フリオも」
「あ、あぁ…?そうだな!」

勢いに押され、マイクを渡される。
何故か室内は大盛り上がりで、時は過ぎていった。



***



〜数時間後〜

「いやー歌った、歌った。もう夜か」
「盛り上がったっスね〜」
「何でだろう、何故か俺まで満ち足りた気持ちになった…」

あははは…と妙にテンションの高い三人は、カラオケ店を後にし、ネオン輝く街をぶらぶらと歩く。

「ところで…スコールとジタンは、まさかもう帰ったりしてないよなぁ〜」
「そんな訳ないっスよ、夜はまだまだ!」

じゃあ、ちょっと冷やかし…とバッツはスマホを取り出しスコールに電話をかける。

「ほら、出ない」
「もーバッツ、邪魔しちゃ駄目だって」

ティーダが笑いながら、軽くバッツの背中を叩く。
バッツはうんうん、そうだな…と納得し、数コール目で切ろうとすると、聞き覚えのある声が…。

『どうした、何か用か』
「え?あれー?何で出るの?」
『お前がかけてきたんだろう』

相変わらずの口調で、スコールは当たり前の事を言う。

「え、まぁ、そうなんだけど …今どこ?」
『自宅だが…』
「何でっ?ジタンは?そこにいるとか?」
『ここにはいないが…家までは送ったぞ』
「あぁ、そう…送ったのか…って、違う!そうじゃなくて!」
『?』

思わず大きな声が出たバッツの背後から、ティーダとフリオニールが顔を覗かせる。
バッツは思わずスピーカーをONにした。

「す、水族館は?!」
『あぁ、行って来た。やはり目の前のリヴァイアサンショーは迫力が…』
「…はぁ、そう…良かった…ね」
『今度は皆で行こうと、ジタンと話をしていたんだ』
「うん…だな」

電話を切った後に、深いため息。

「俺達の熱い想いは届かなかった…か」
「何でだろう…何故かとても虚しくなったっス…」
「皆で行こうだなんて…楽しくなりそうだな!」
「「?!」」

少し検討違いをしているフリオニールをどやしながら、三人は再び夜の街に消えていった。



***


〜おまけ〜

どこかのファーストフード店的な場所にて。

「で、どうなのよ」
「何が?」
「イヤだわ、ジタンさん。スコールとだよ、この間水族館行ったんだろ?」
「楽しかったぜ、ショーが大迫力でさ…」
「そうじゃなくて…チューぐらいした?」
「は…?」
「へ…?」

少し間が空いてジタンが狼狽えだす。

「ちょっ…そ、そんな事しねーよ!」
「またまた、健全に水族館を堪能するだけって…有り得ないでしょ!」

ニヤニヤとするバッツに、ジタンは至って冷静に一言。

「いや、それが…有り得るんだよな…」
「……マジか」
「マジだぜ。ほら、これ」

ジタンが差し出したスマホを見ると、スコールからのメッセージは、水族館での事細かな予定が書いてあった。

「こ、これは…」
「見逃さない様に、効率良く回れる様になっているんだぜ、凄いだろ」
「…それじゃ色っぽい展開は?」
「それは…無いなー…」
「…マジか」
「だからマジだって」

じゃ、行くわ…とジタンはトレイを持って軽く手を振る。

『まぁ、本当は色々あったんだけどー…教えない!』

ゴミを捨て、出口に向かうジタンにバッツが大きく声をかける。

「もー!いい加減ジタンが襲っちゃえよ!」
「…!(何言ってんだ馬鹿!!)」

顔を真っ赤にしながら、ジタンは店を飛び出していった。



〜fin〜



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2018 8.9UP
89の日なので
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