chance!〜その2
※59現パロ
Be happy together
前回の続き ちょっとだけ危険
ギャグ&ゆるいですが
苦手な方はお気を付け下さい

自分でも大胆な事をしているな…そのままジタンの手を引き、廊下を歩く。
妙に客観的に見てしまうのは、単に照れがあるからか…それとも俺って意外とこーゆー事に関して余裕があるのか…??
多分、前者だろうけど。

「や、やっぱりさ…何だか恥ずかしいな!」

努めて明るく、ちょっとふざけた感じで俺の後ろを歩くジタンに話しかける。
返事は…無い。
そして、その次の言葉が中々浮かばない。
ならば…と、変わりに繋いだ手に力を込めた瞬間、背中にジタンがくっついてきた。
そのままじっと背後の温もりと、心拍数が一気に跳ね上がるのを感じながら歩くのを止める。

「…なぁ、バッツ」
「な、何?」
「ちょっと提案なんだけどさ…」
「?」
「煮たり、焼いたりっつーの逆にしないか?」

え…?それって、つまり…??その…。
あまり想像出来ない光景を見事に想像してしまい、俺は思わず叫び声を上げた。


***

勢い良くドアを開け、ずんずんと自室に入る。
そのままていっと(軽く)ジタンをベッドに投げた。

「おい!扱いが雑!!…つか、さっきの話聞いてたか?」
「聞いてない!だって、賭けに勝ったのは俺!!」

俺の望みじゃないし!何でそうなるんだよ〜〜!
叫びたい衝動を抑えつつ、自分自身もベッドにダイブする。
着地点は見事にジタンの身体の上だ。

「重い!」
「ちょっとジタン、人の話聞いてた?」
「ど、どっちだっていいじゃんか!」
「よくない!」

暴れるジタンを押さえ込む。
まるでプロレスのような状況に、さっきまでの俺の努力は一体…!涙が出そうだ。
枕元に鎮座している相棒、チョコボのぬいぐるみのボコまで哀れみの表情を浮かべている気がする…。

ボコをくるりと後ろ向きにし、深呼吸ひとつ。
下敷きになっている当のジタンは、いつの間にか俺のタオルケットを頭からすっぽり被って大人しい。
その…何だ…ちょっと可愛らしいと思ってしまった…。

「あの…別に俺、取って喰おうとしてる訳じゃないんですけど…」
「同じ事だろうがっ!」
「…違うよ」

そーっと、タオルケットを取ると真っ赤な顔をしたジタンと目が合った。
その顔に引き寄せられる様に額や頬に軽くキスを落とす。

「ちゃんと愛し合いたいんだ」
「…恥ずかしい事言うな、バカ」
「バカだよ、ずっとジタンしか見てない」

呆れた顔をしながら俺の首に腕を回してくる。

「知ってる…」
「へへっ…」

そのまま唇を重ねる…それはいつもするキスよりとても甘くて深く、角度を変えながら俺は酔いしれた。

……。
………。
何か腕が…痺れてきたんですけど…。
ブルブルと震える腕に情けなさを感じた瞬間、ジタンの両腕に力がこもる。
引っ張られた俺は体勢を崩し、ジタンの身体の上に落ちていく。

「ぐえ…」
「ご、ごめん…腕にきた」

ジタンの首筋に顔を埋めると、いつもの匂いがした。
俺にとって落ち着く、安らぐ香り…柔らかい金の髪が自分の頬をくすぐる。
いい加減重いかと思い、退こうとしたが俺の背中にそっとジタンが抱き着いてきた。

「どしたの?」
「いや、バッツも大きくなったなぁ…って、思ってさ」
「そりゃ、成長期ですから。でも、重いだろ」
「重いけど…あったかくて心地好い」

それは優しく、まるで甘えるかの様に力がこもる。

「もしかして、さっきのは照れ隠し?」
「……」
「うんうん、そうかーやっぱりなー」
「一人で納得すんな」

正直ビビったし、解りにくいし…もう。
顔を上げると、さっきより更に赤くなっているジタンと目が合った。

「俺だって…結構恥ずかしいんだよ…これでも頑張ってるんだぜ?」

だから、
だからさお願い。

「ジタンを頂戴…いや、下さい!」

プッと吹き出すジタンと軽く笑い合う。

「しょうがないなー…優しく扱えよ」
「もちろん!」

今日はいつもの週末の夜と違って、長い夜になりそうだ。
俺はボコをベッドから降ろし、鼻息荒く気合を入れた。


〜続く〜


*おまけ*

翌日…ジタン宅にて。

「おや、帰ってたのかい?」
「おう…」

クジャがめずらしく、居間のソファでゴロゴロしていた俺に話しかけてきた。
クッションに顔を埋めたまま軽く返事をする。

「それにしても昨夜はうるさかったねぇ」
「え?」
「君が遊びに行ったアイツの部屋だよ」

ガバっとクッションから顔を上げた俺は恐る恐るクジャの顔を見た。
涼しい顔して俺を見下ろしている。

「そ、そんなにうるさかったか…?」
「いい歳してプロレスごっこでもしてたのかい?」
「ま、まぁ、そんなトコ…」
「ふーん、そう」

視線を避ける様に、いそいそと自室に引き上げる俺の背中にクジャから一言投げられた。

「ねぇ、ジタン。君、もうちょっと色気を出さないと、飽きられてしまうよ」
「…?!」

振り返ると、そこにはもうクジャの姿は無い。
俺は冷や汗を出しながら、立ち尽くすしかなかった…。


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2012 6.30 UP
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