ずっと夢中で ※59現パロ Be happy together キャラ崩壊気味 ご注意下さい |
自分の欲目を置いといても、ジタンの外見は可愛いとか綺麗な部類に入るんではないだろうかと常々思う訳で…。 だた、性格はとても男前なので、そのギャップが見ていて面白いし飽きる事は無い。 あれは幼稚園の帰りだったか…二人仲良く並んで帰っていた途中、道でオバサマ達にジタンが『可愛い、可愛い』と、囲まれた事があった。 当のジタンはうつむいて俺の後ろに隠れてしまったが、あれは照れていたんじゃなくて言われるのが嫌だったらしい。 小学生の頃も、よく学年上のガキ大将っぽいヤツとかにからかわれた。 始めは気にしない様にしていたジタンだったが、ある日我慢の限界を超えたらしく、俺もスコールも巻き込まれた報復喧嘩をふっかけた。 ジタンの華麗な跳び蹴りは今でも覚えてる位だ。 今、思うとそのガキ大将ってばジタンの事好きだったんじゃないのか?と思う…まぁ、これは俺の邪推だけど。 中学時代、男子は成長期特有のおっさん少年みたいな風貌が多くなるが、その中でジタンは一際輝いていたっけ。 なので女子にはウケが良く、本来の性格も手伝ってかモテていたと思うがスコールには敵わなかった様だ。 その愚痴をよく聞かされていた俺は…至って普通だったな…うん。 *** 「おーい、バッツ聞いてるのか?」 「へ?あぁ、な、何??」 ハッとした途端、ここは電車の中で俺達は動物園に行く途中だった事を思い出す。 どうやら俺の意識は完全に過去に飛んでいたらしく、隣に居たジタンは呆れている。 あぁ、毎日同じ角度で同じ顔やしぐさを見ているけど…やっぱり…やっぱり…。 『可愛いと思いマス!』 などと、本人が聞いたら目くじら立てて怒りそうな事を、顔は平静を保ちながら心の中で思い切り叫ぶ。 「だからさ、スコールどうして来れなくなったんだ?」 「えーと、何か急に用事が出来たって言ってたけど…」 「うー…バッツと二人っきりか…」 実は、今日の目的地である動物園へは当初三人で行く予定だったのだ。 小学校の遠足で行ったっきりだったけど、最近リニューアルオープンをしたらしい。 どんなもんかと思って計画を立てたのだが…昨夜スコールから突然電話があった。 『明日なんだが…すまない、行けなくなった』 「どうしたんだよ急に…ジタンも楽しみにしてたぜ」 『…いや、ちょっと…な』 「うーん…じゃあ、日程ずらす?」 『そこまでしなくてもいいさ、二人で楽しんでこい』 残念だなぁ〜と、電話を切ってハッとした…もしかして…もしかすると…スコールってば気ィ使ってくれちゃったりする? 俺は慌てて電話をかけなおし『ごめん、スコール!お土産にライオンのぬいぐるみ買って来るから!!』と、叫んだが返事は一言『遠慮する』だった。 そういう経緯で二人っきりの動物園(デートという事にしておこう)になった訳だけど、当のジタンは相変わらず…うん、いいんだ…今更そんな事でめげる俺ではない。 こうなったらとことん楽しんでやる!…段々、鼻息が荒くなってきたぞ。 *** 動物園に着き、入場口を抜けた辺りを見回すと見覚えのある広場に出た。 リニューアルしたとはいえ、ここは変わってないみたいだな。 「懐かしいな〜まず、ここで並んだんだよな」 「そうそう、先生の話なんか聞いてなかったよ」 思い出が鮮明に蘇り、三人であれ見ようこれ見よう…と、おしゃべりばかりしていたっけ。 あの時はただ、ジタンやスコールと一緒につるんで遊ぶ事だけが楽しくて…ジタンに対しては、今の様な感情を抱いてはいなかった…と、思う。 そりゃ、他の奴らと仲良くしていた時はちょっとヤキモチ焼いたりしたけど…。 「バッツ、行こうぜ」 またもや過去に飛んでた俺は、大急ぎでジタンの後を追いかけた。 *** 目の前ではレッサーパンダが綱渡りしたり、仲間とじゃれたりとても和む光景が繰り広げられていたが俺の視線は隣に向いてしまう…。 「うわー可愛いなコイツら」 目を細めてレッサー達を見ているジタンの姿の方が…か、可愛いと思うんだぜ…! 更に移動し、ライオンの檻の前でジタンは思い出話をする。 「遠足の時、グータラ寝てるライオン見てスコール愕然としていたよなぁ」 そういや、そんな事もあったなーと、返すも俺はまたもや横ばっか見ていた。 『あああ…か、か、かわぃ…(以下略)』 …帰りまでもつだろうか俺の心臓……。 *** 結局、俺は動物園でほとんど動物を見る事無く、昼食を摂るべくカフェテリアに移動した。 オムライスを食べながら、目の前に座っているジタンとようやく落ち着いて話が出来たが、心中悶えっぱなしなので、味がさっぱり解らない。 あまりにも俺が笑顔全開(ニヤニヤ?)だったので、時々周囲の視線が痛かったが…そんなモンはポイ、だ。 「やっぱり、野郎二人って浮いてるよな…」 視線に気付いたジタンがボソリと言う。 「そう?俺は気にならないけど??」 「あ、そう…バッツはいいよな…」 「?」 何がいいのかさっぱりだったが、早々に食事を終え店を後にした俺達は腹ごなしも兼ね更に園内を散策する事にした。 細い道の先に見えた『ふれあいひろば』の看板を見つけたジタンが、俺の腕を嬉しそうに引っ張る。 『ぎゃー!!かわ…(略)』 思わず心の声をあげてしまいそうだったが、あくまで普通を装いそのままついて行く。 「懐かしいなぁ、ここはあんまり変わってない」 柵とか看板とか綺麗にはなっているが、昔の雰囲気はそのままで子供達の賑やかな声が聞こえ、柵の中では小動物がチョロチョロしている。 ジタンは入口からそっと入り、子供達に紛れてモルモットを抱っこしようとしており、柵の外からその姿を眺める俺は…俺は…もうダメかもしれない…。 中では子供にレクチャーを受けながら、ようやくモルを抱っこ出来たジタンが優しい顔でお子様と談笑していた。 そうか、妻と子を待つお父さんってこんな感じなんだ…カメラ持ってくれば良かった…等と勝手に未来予想図的な世界へ羽ばたいていた俺だったが、いきなり目の前に現れたふんふん動くモルの鼻に一気に現実に戻った。 「バッツも抱っこしてみろよ、可愛いぞ〜たまには動物とふれ合えって」 『俺はジタンとふれ合いたい…!』 絶対ジタンには聞かせられないセリフを、本日何度目かの心で叫びながら柵の中へ入り、俺もモルやらウサギやらひよこやらと戯れるのだった。 *** 「あー楽しかった!」 「可愛かったなぁ(ジタンが)」 「うんうん、あのモル達連れて帰りたかったぜ」 噛み合わない会話も何のその、俺の心臓は何とかもった様だ。 最寄りの駅を降り、家路を目指して二人で歩き出す。 「今日ってさ」 ふと、ジタンが口を開く。 「一応、デートって事になるんだよな…」 「…そうそう…って、ええっ?!」 驚いてジタンを見ると、俺を見上げてニッと笑う。 「だって、バッツ俺しか見てなかったじゃん」 せっかくの動物園だったのにな〜何て言いながら俺の腕に抱きついてきた。 「ぎゃー!!!」 今度こそ本当に声が出てしまったが、腕はそのまま離れる事はない。 「おいおい、家まできちんとエスコートしてくれよ」 「も、もちろん!まかせろって!」 あーもう、やっぱり可愛いんですけど…でも、カッコイイんですけど…。 俺はきちんと最後まで、しっかりとエスコートするべく、マンションまでの道をゆっくり歩いて行くのだった。 「やっぱり、最後はお別れのチューだよなぁ…」 小さい声で呟くが、ジタンには聞こえてないみたいで「?」と、顔を覗き込まれる。 くそぅ、可愛い。 「いいや、なーんでもない!」 〜続く〜 *おまけ* バッツとスコール 動物園の土産を渡したい…と、バッツからメールが来たので都合をつけ、待ち合わせのファーストフード店に入り二階へ向かう。 すぐに見付けたのだが、ヤツの隣りにはいつも居るジタンの変わりに、包装紙に包まれた巨大な何かが鎮座している。 もしかして、土産って…あれか? 自分の予想が間違っていなければ中身は想像出来る…いや、まさか、しかし…あんな巨大な…。 一瞬このまま階段を降りて帰ろうかとも思ったが、さすがにそれは出来ない…。 立ち尽くす俺に気付いたバッツが大声で呼ぶ。 やめろ、視線が集まるじゃないか…! 「この間はすまなかったな、変な気使わせちゃって」 「…いや」 「お土産早く渡したくてさ!」 二人で選んだんだ!と、ガサガサとバッツは包装紙を豪快に開け始めた。 おい、何故ここで開ける…!! 「ホラ、可愛いだろ!」 中から何とも間の抜けた、すっとぼけた顔の巨大なライオンのぬいぐるみが現れ、俺の目の前に突き出された。 「リアルな方と迷ったんだけどさ、ジタンがこっちがいいって…」 「………(まだリアルな方が…!)」 無理矢理ぬいぐるみを抱っこをさせられた俺を見て、バッツはうんうんと満足そうにしている。 周りからクスクスと声が聞こえてきたのは気のせいでは…ないな…。 だが、貰った土産にケチをつけるなんて事は出来ない。 一応感謝を述べ、急いで包装紙に仕舞い込むが、大きくて上手く収まってくれない。 頭か尻尾、どちらかが飛び出してしまう。 「いいじゃん、そのまま抱っこしてけば?」 出来るか!! 数分格闘し、クシャクシャになった包装紙になんとかライオンを包んだ俺は、家に無事に帰れる様祈るしかなかった。 - - - - - - - - - - 2012 3.27 UP |