Happy Valentine〜after2
※59現パロ
Be happy together
バレンタインネタ後日談2
8さん登場

…疲れた。

学校から自宅に帰り、俺はため息をひとつ吐き荷物を下ろした。
ため息の原因は両手を塞いでいたこの大きな紙袋二つにある。
中には多分、今日という日が間違ってなければバレンタインとやらのチョコだろう。
すでに筋肉痛になりかけている自分が情けない…。

そう、朝から俺の行く至る所にこれらが置いてあったり…もしくは渡されたりだった。
学校の下駄箱に食べ物を入れるなよ…とも思ったが、自分に向けられた好意を無下には出来ず、こうして持ち帰った。

クラスの連中から文句やら賞賛やら何やら色々言われた気もするが…まぁ、いい。
とりあえず、コーヒーをいれ一息ついた俺は自室の机へ向かい参考書を開く。
習慣をいうのは恐ろしいもので、帰宅後何故かすぐに宿題などを終えないと気が済まない。

昔、あいつらが遊びに来た時にうっかり同様の事をしてしまったら『真面目過ぎだぜスコール!』と、呆れられてしまった。
声を揃えて『そんなもん、遊んだ後、後!』と騒がれ、しぶしぶ参考書を閉じた思い出が蘇る。

コーヒーを一口飲み思い出にふけっていると、携帯の着信音が鳴り響き慌ててカップを置く。
画面を見ると、昔騒がれた人物その1…バッツからだった。

「…何だ?」
『あ、スコール?俺、俺』

そんな事は着信画面を見れば解るのだが…と、心の中で思ったがあえて言わず次の言葉を待つ。
久しぶりだな〜何て言うヤツの声はすこぶる明るい。
いつもの三割増しぐらいに、だ。

「やけに上機嫌だな…」
『え、やっぱりバレちゃった?☆』

へらへらと電話の向こうで笑っている姿が目に浮かぶ…こんなテンションになる時は、大体決まってもう一人の人物に関してなのだが…。

「…ジタンにチョコでも貰ったのか?」
『!?スコールよく分かったな!!』

分からない方がおかしいだろ…。
多分バッツの事だから、嬉し過ぎて誰かに言いたくなったのだろう…そして俺はターゲットにされた訳か…。

「お前の事だから、作って欲しいとか言ったんだろう」
『いや、それが…作ったのは妹のミコトちゃんなんだけど…あ、でも!くれたのはジタンなんだぜ』

それは少し残念だったな…と、言うとバッツは『気持ちがこもっていれば問題ナシ!』と
笑いながら答えた。
気持ちか…俺は両手が筋肉痛になる原因となった、二つの紙袋を眺めた。
これらにもそんな甘酸っぱい気持ちがこめられているのだろうか…正直ピンとこないが。

『そういうお前はどうなんだよ、チョコ沢山貰ったんだろ?このモテ男め』
「あぁ、そうだな…少なくともお前よりは多い」
『む。いいんだ!ジタンのチョコは一つで100人分なんだからな』

どういう計算だか解らないが、様は量より質と言いたいらしい。
その後も終始花が飛ぶような話の内容で、幸せそうなバッツの声を聞きながら参考書をパラパラとめくる。

『と、言うわけで…以上、幸せのお裾わけでした〜』

言うだけ言って電話が切れた。
全く…こうした浮かれた話を聞かされる身にも…いや、慣れてきたのは事実だが。
携帯を置き、俺は少し冷めたコーヒーをまた一口飲み、再び机に向かった。



***



あの電話から一週間ほど過ぎた。
俺はいつものように帰宅後、コーヒーをいれ机に向かう。

ほどなくして携帯が鳴る…画面を見るとジタンからだった。

「もしも…」
『スコール、助けてくれ!』

一体何事かと思い、思わず椅子から立ち上がり携帯を握りしめる。

「おい、どうした?!何が…」

そう言いかけよくよく耳を澄ませているともう一人、後ろで声がする…どうやらバッツもいるらしい。

『バッツに襲われる!あ、コラ!!携帯返せ〜』
『人聞き悪い事言わないでくれよ!違うぞスコール、ちょっとじゃれてただけだからな!!』

大きな声と共に『はーなーせー!』だの文句と暴れてる様な音がする。
何をやってるんだあいつらは…。
すぐに切ってやろうかと携帯のボタンを押そうとしたら、バッツの声が聞こえてきた。

『実はさ、チョコ作ったのジタンだったんだよ。俺に嘘ついてたからちょっとおしおき中!』

お騒がせしました〜…と、電話が切れた。
おしおきって…あいつ何する気だ…。
俺はジタンの無事を祈りつつも、こっそり心の中でバッツにエールを送るのだった。


〜続く〜


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