告白の行方〜その2
※59現パロ
Be happy together
前回の続きです

あの昼食の一件から数日が過ぎた。
俺はもうあの話題を忘れる様に努めているのに、当のジタンはそっち方面の話をふってくる事が多い。
しかも、ちょっとヘンな方向にいき始め更に俺を悩ませる。

「なぁなぁ、あの娘はどう思う?」
「どうって…別になぁ…」

登下校中、駅で見かける女の子達の感想?を俺に訪ねてくる。
どうって聞かれても別にどうも思わないので、曖昧な返答しか出来ない。

俺がそんな事しか言わないもんだから、ジタンは怪訝な顔をしてこっちを見る。

「…つっまんないな〜こう、色々あるだろ?可愛いとかキレイとか」

そして『バッツの未来の彼女になるかもしれないだろ?』と、付け加えていたが…どう返答していいものやら…。

尚も適当な言葉しか返さない俺をじーっと顔を見つめてくるジタン。
昔と変わらない青緑の瞳につい魅入ってしまう。
ジタンの方が可愛いし、キレイだと思いマス…って、こんな事、面と向かって言える訳無いんだけど。

「まさか…」
「え…?」
「バッツってそんなに奥手だったんだな!」

ずるっと全身の力が抜けた俺は、うんうんと勝手に納得してるジタンに一言だけ返す。

「そうなんだよね〜…」



***



そんな事件(俺にとっては)が続くと、何となく気分も沈んできた。
俺は机に突っ伏して、教室で悶々と時間を過ごす。

ジタンだって彼女いないくせに…。
何故俺の世話を焼こうとするんだか…。
まさか…ジタンに実は彼女が居て、俺にもその気持ちを分けてあげよう!
何てそんな事だったらどうしよう…。
いやいや、いたら絶対俺に報告位あるハズだ…!

机に正面から項垂れていた為、段々額が痛くなってきた。
あぁ、いっその事言っちゃおうかな…俺はずっとジタンしか好きじゃないデスよーとか茶化して…。

…駄目だ。

きっと冗談も顔だけにしろ!とか何とか言われて、腹にエルボーでもお見舞いされるのがオチだ。

じゃあ、放課後の誰も居ない教室にでも呼び出す系とか…伝説の木の下系でもいいか。
真面目顔で『好きだー!』の一言、どうだ。

……俺自身が色々と無理だ。
第一心臓がもたない気がする…。

痛い額を回避するべく俺は横向きになってうんうんと唸る。
そこへ聞き覚えのある、明るい声が話しかけてきた。

「あーバッツだ」
「…ティーダじゃん。何でうちのクラスに居んの?」
「フリオに借りた辞書返しに来たっス」
「あ、そう…」

キョロキョロとフリオを探しながら、更に俺に話題を振る。

「そうそう、バッツ。卒業式のあのコ勿体無かったっスね〜」

…またその話題か。勘弁してくれよ。

つか、確かティーダがジタンに言ったんだっけか?
何で言っちゃうの、キミは。

「何でジタンに言ったんだよ」

半ば八つ当たりの気もするが、ちょっと怒り口調気味で問い詰める。
ティーダにしてみれば只の話題として言っただけだろう。
案の定ティーダはキョトンとした顔で俺を見ている。

「え?何でバッツ怒ってるんスか?」
「いや、もういい…」

もう、過ぎた事だし…と平常心を保つ為に自分に言い聞かせる。
ごめん、ティーダ。
お前は悪くないよ、うん。

「そう言えば、バッツの好きな人って誰なの?」

ズルっと椅子から落ちそうになった俺にティーダは続ける。

「だって、『好きな人がいるから付き合えない』って言ったんスよね?」
「どどどどうしてそんな事まで知ってるんだよ!」

そう、俺はあの日そう言った。
だって理由としては適当だし、何より本当の事だし。
それにしても、ティーダめ…誰から聞いたんだ。
やっぱり侮り難し…。

「教えて欲しいっス!」

ニコニコといい笑顔で聞いてくる。

「ジタンが心配してたっスよ。『バッツとお似合いだと思ったんだけど』って」

お似合い…そうか、ジタンにはそう見えたのか。

俺はジタンの隣にいる方が、自分では似合ってると思っていたけどな…。
幼なじみとして、友人としてずっとずっと一緒にいる事が当たり前だと信じて疑わなかったけどな…。

その瞬間俺は…つい、本当につい、ぼそっと呟いてしまった。

「俺が好きなのは…ジタンだって」
「?バッツ何て言ったんスか??」

俺の中で何かがぱちん、と弾けた。

「だーかーらー!好きな人なんだって!ジタンが!!」

ざわついたクラス中の視線を一気に受ける。
あ、あれ?俺、もしかして言ってしまった…?
長年胸に秘めてきた想いをこうも、あっさりと言ってしまった…?


その時、ガタンとドアの方から音がする。
そこに居た人物は今、一番会ってはいけない人だけど、一番会いたい人…。

「…ジ、ジタン」
「………」

そこには驚いた表情のジタンが居たが、すぐに廊下を走り去って行く。
俺はサーっと血の気が引いた。
もう、終わりだ…。

「バッツ、追いかけた方が良いっスよ…」

呆然と立ち尽くす俺に、耳打ちをしてきたティーダの言葉にハッとなる。
そうだ、誤解を解かなきゃ…。
でも、誤解って…?

クラスメイトの野次が背後に飛ぶが、何も耳に入って来ない。
俺は全速力でジタンの後を追った。


〜続く〜


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2011 12.27 UP
終わりませんでした…その3へ続きます
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