告白の行方〜その1 ※59現パロ Be happy together 設定をご参照下さい |
そんなこんなで俺達は受験を見事突破し、同じ高校に入学する事が出来た。 受験までは結構キツかったが、お互いの苦手教科などを助け合い、いつもより長く一緒にいられた事が何よりも嬉しい。 入学した学校は思ったより普通(?)で文武両道、部活も盛んで活気に溢れた感じだ。 ジタンの兄貴が勤めているので校風など色々聞いていたが、どれも誇張した情報ばかりだった様で一安心。 良かった…妙にキラキラというか、お高い感じじゃなくて…。 ただ、残念な事にクラスは別れてしまい、ジタンは隣のクラスになってしまった。 それでも一緒の登下校と昼メシは欠かさず、昼休みは毎日弁当を持って隣のクラスに突撃訪問するのが日課だ。 初めは呆れ顔のジタンだったが、最近では時々自ら俺のクラスに迎えに来てくれる。 ほら、今日だって…教室のドアから顔を覗かせて俺を探している。 その姿を見ていると何とも幸せな気持ちになり、頬も自然と緩むってもんだ。 「今日はどこで食べる?」 「天気がいいから中庭とか」 「賛成!」 まだ初夏とまでいかないけど爽やかな季節、今日は風が気持ちいい中庭に決まった。 柔らかい芝生に座り、お互い弁当を開けて食事を始める。 俺は午前中会えなかった寂しさをここで埋めるかの様に、ひたすら話し続けていた。 一息ついてお茶を飲む俺に、ジタンが思い出した様にニヤニヤしながら顔を近付けて来る。 な、なんだろ…。 ちょっとドキドキするじゃないか。 「そういえばさ〜聞いたぜあの話」 「え?何が?」 何の話かさっぱり解らない。 俺、何かやっちまったっけ? 心当たりが多すぎて思い出せないんだけど…。 「お前、告白されたのに振っちゃったんだって?」 んぶっ! 飲んでいたお茶を吹き出しそうになった。 な、何でその話…。 そう、俺は卒業式の時隣のクラスの女子から告白されたのだ。 そしてごめん、とお断りした。 俺ってヒドイ奴だと思ったが、こればかりは仕方がない。 何となく言いたくなくて、ジタンには秘密にしておいたのに…。 「だ、誰に聞いたんだ…?!」 「ティーダに聞いたんだよ『可愛かったのに、勿体ないっスね〜』って」 同じ中学でこれまた高校も同じ(しかもジタンと同じクラスだ)に なったティーダに聞いてもおかしくはないが、出来れば言わないで欲しかった…。 俺、あいつに言った覚えが無いんだけど。 ティーダめ…友人が多い故か、侮り難し情報網…。 「なぁなぁ、何でお断りしたんだよ」 俺だったら速攻OKなのにな〜なんて笑顔で言うもんだから、ちょっと悲しくなってきた。 何でって、そりゃ…。 「もしかして他に好きなコがいるとか?」 ドキッ。 「え、えーっと…それは…」 ごにょごにょ言う俺にジタンはうんうん、と頷く。 「バッツだって黙ってればカッコイイんだから、頑張れよ〜」 「………」 「そうか、お前あんまり浮いた話聞かないからさ…心配してたんだぜ」 勝手に誤解をしているジタンは、また食事を再開する。 俺もそれ以上何も言えず、残りの弁当を食べる事にした。 せっかくの楽しいランチタイムだったのに…心にすき間風が吹き荒れる。 まぁ、でもカッコイイって言ってくれたし。 (黙ってれば限定だけど) その言葉だけを胸に刻もう…。 「バッツ」 「何?」 気分が落ち込んでいるのを察したのか、ジタンが話しかけてきた。 もう、話題を変えてくれよ…そう思ったのに彼が言ったセリフは…。 「もし、告白して玉砕したら俺が慰めてやるからな。いつでも胸、貸してやるぜ!」 もはや苦笑いしか出ない俺に「遠慮すんなよ〜」と、更に追い打ちをかける。 俺を思っての言葉だとは解っている。 そういう所も含めて大好きなんだから。 「……頼りにしてるよ」 そう言って卵焼きを口に入れる。 いつも美味しく感じているのに今日は何だか涙の味がした。 〜続く〜 - - - - - - - - - - 2011 12.20 UP その2に続きます |