もうひとつの願い事
※59現パロ
Be happy together
設定をご参照下さい
色々と説明不足ですみません

学校帰り、俺とジタンは駅前のファーストフード店に寄り道をした。
小遣いに余裕がある時ぐらいしか行かなかったけど、ジタンから『話があるんだけど』なんて言われれば、二つ返事でOKするに決まってるじゃないか。
高校への進路云々…最近暗い話題が多いから単に気晴らしかもしれないけど、それでも一緒にいれる時間が増えるのは嬉しい。

そして、俺はジタンの口から衝撃発言を聞くのであった。

「え…」

持っていたフライドポテトをぽとり、と落とす。
い、今何て言った…?

「ごめん、そういう訳だから一緒の高校受けれないんだ」
「ちょ、ちょっと待って…何で急にそんな…」

ジタン曰く、兄貴に自分の勤めてる高校に入学をするよう言われたらしい。
正直校風はあんまり合わない感じらしいが、あのちょっと強引な兄貴の事だ。
きっと押しに負けたに違いない。
本当は俺と一緒の高校を受験する筈だったのに…。

だからと言って簡単に引き下がる訳にはいかない。

ジタンとは俗にいう幼なじみというやつで、出会いは幼少の時…俺のマンションの階下に越してきたのがジタンとその兄妹だった。
それからずっと一緒に過ごしてきた。
幼稚園、小学校、中学…そしてこれからもそのつもりだ。
だってそれが俺にとっては当たり前で…。

何よりジタンと離れたくない。
とても、とっても大好きだから。

この気持ちが単なる友情ではない事に気が付いたのはここ一年前。
『同じマンションの上下に住む、同い年の仲の良い幼なじみ』
その関係を壊す事もしたくないから、想いは自分の胸にしまっておこうと心に決めていた。

でも、最近限界がきている…。

「じゃあ、俺もそこ受ける!」
「な、何言ってんだよ…前に言ってた学校の方がイイって言ってたじゃないか」

驚いた顔を見せるジタンだったが、やがて諦めた様なため息をひとつ吐く。

「……そう言うと思ったけど、いいのかよ。少し気取った感じの学校らしいぜ?」

似合わないよな〜と笑うジタン。
俺にとってはどこに行くかより、ジタンと一緒という事の方がとっても大事だから…。

「いいよ、ジタンと一緒ならどこでも」

目を見開いて驚いた様な顔をしてこっちを見るジタン。
あ、やば…気付かれた…?
本心がつい口から出てしまう。

「そういうセリフは女の子に言えよ〜」

二カッと笑うジタンにホッとするやら寂しいやら…何だか複雑な気持ちだ。

「た、ただ単に幼なじみの記録を更新したいだけだし」

あぁ、素直に「好きだから一緒にいたい」って、言えない自分が情けない。
でも、言っちゃだめなんだ。
言えばこの関係は終わってしまうんだ。
毎日バカやって笑い合えるこの日々を失いたくはない。

俺にとっては衝撃だった受験の話から、今度は他愛の無い話に変わり、店を出る頃には空は夕焼けに染まっていた。

「お、一番星」
「どうかジタンと一緒の高校へ入れて下さい。お願いお星サマ!ナムナム…」
「バッツそれ違う…」

こんな風に変わらず共に歩む事が
これからもずっと、ずっと続きますように…。

もうひとつの願い事は心の中でそっとつぶやいた。


〜続く〜


- - - - - - - - - -
2011 12.15 UP
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -