ケーキ戦争
※589
学パロ
9さんハピバ話

「絶っっ対、生クリーム!定番だろ?」
「……代り映えが無さすぎる。チョコレートだ」

とある教室の一角で繰り広げられる、バッツとスコールの言い争い。
争い、といっても聞こえる内容は平和そのもので、誰一人仲裁に入るものはいなかった。

「何?あれ」

オニオンは読んでいた本から目を離し、怪訝な顔を騒がしい二人に向ける。

「どうやらケーキの話の様だが」

後ろの席のクラウドが、スマホを見ながら呟く。

「そういや、もうすぐ誕生日だもんね」

二人の頭上から声がする。
いつ来たのか、ニコニコと笑みを浮かべながらセシルが立っていた。

「誕生日って誰の?」
「ジタンだよ」
「あぁ…だから…」

二人はなるほど、と頷きながら、未だ争っているバッツとスコールの方を眺めていた。



***



「くそ、埒が明かないぜ」
「いい加減、諦めろ」

フン、とお互い鼻を鳴らす。
その二人の光景をすぐ横で見ていたヴァンは、不思議そうに尋ねる。

「なぁ、そのケーキの選択肢って二つだけなのか?」
「「え?」」
「いやーもしさ…ジタンがの好きなのが違うヤツだったら…って。今さ種類多いし」
「……おい、ヴァン」
「何?」
「…頼む、聞いてきてくれ…」
「隣のクラスまで?いいけど…何だか二人ともややこしいなー」

軽く口笛を吹きながら、ヴァンはフラリと教室を出ていく。

「……(だってジタン喜ばせたいし!)」
「……(ややこしくて悪かったな…喜ばせたいだけだ)」

少しだけ静かになった教室に、予鈴のチャイムが鳴り響いた。



***



「あ、おーいジタン」

廊下にて、隣の教室へ急ぎ足で歩くジタンを呼び止める。

「もう、予鈴鳴ってんぞ」
「ジタンって何のケーキが好き?」
「は?何だよ急に…そうだな…今の時期だとモンブランとか好きだぜ」
「あ、いや…季節限定ナシで」
「えー…あー…うーんとアップルパイとかタルトとか…何でも食べるけど?」
「何でも、じゃなくて本命が知りたいんだよ」
「ええ〜?一体何のリサーチだよ」

キンコーン…本鈴のチャイムが聞こえてきた。

「あ、やべ。どれも美味しいと思うけど、店員のお姉さんが可愛ければ、更に倍美味い!と、いう訳でじゃあな、お前も早く戻れよ」

軽く手を振り、ジタンは小走りに消えていく。

「これ、参考になるのかなー…」

ぽつんと廊下に残されたヴァンは、頭を掻きながら回れ右で教室に向かった。



***



〜数日後〜


「ジタン、誕生日おめでとう…」
「おめでとう…」
「お、おう…ありがとう…(何でここで誕生会やろうと思ったんだろう…)」

キョロキョロと店内を見回せば、女性客ばかりのスイーツビュッフェ。
美味しそうなケーキも陳列され、見た目も華やかだ。
その店内の片隅に、三人はひっそりと座って小さくなっている。

「今日は俺達の奢りだから…心行くまで堪能して(ケーキも女子も…)」
「好みが違ったらすまない…(視線が痛い…)」
「い、いや、沢山あるし!どれも美味しそうだな…(二人共、すげー考えた結果なんだろうなぁ…ようし、今日は食うぞ!)」

皿を片手に席を立ち、いそいそとジタンはケーキコーナーへ突撃していった。

「なぁ、スコール…」
「何だ」
「俺達も食べるか!」
「あぁ」


〜fin〜


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2015 10.11 UP
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