お騒がせします ※589現パロ 短文です |
夕暮れ時、冷たくなった公園のベンチにジタンは腰を降ろす。 手には先程コンビニで買った肉まんの袋、ほんのりと上がる湯気に思わず頬が緩む。 『家に着くまで冷めちゃいそうだからな。いただきまー…』 満足そうに笑顔を浮かべ、ジタンは口を開け…ようとした瞬間、不意に声をかけられた。 「あ、良いなぁ〜ジタン」 「何だバッツか…驚かせるなよ」 「ごめん、ごめん」 謝りながらも視線は肉まんに向けられており、ジタンは苦笑いをする。 「…半分食う?」 「いやいや」 「お前が遠慮するなんて珍しいな…良いから食えって」 「大丈夫!だって、ほら」 そう言って、バッツは同じく湯気の立つコンビニの袋を得意気に見せた。 「何だ、あったのかよ」 「ふっふっふっ…しかも俺のはピザまんだ!」 「あ、そう…」 「ちょっ、興味なさそうにしない!で、俺のやつとジタンのやつを半分ずつ割れば、二種類の味が楽しめる訳なんだけど…」 「あはは、そうだな」 「と、いう訳で半分ずつ…」 互いに半分ずつ交換し口に運べば、あっという間に食べ終わってしまった。 物足りなそうな二人だったが、段々と寒くなる風に身を震わせ、足早に公園を抜けていく。 公園を出たバッツとジタンは横断歩道の前で立ち止まる。 信号待ちの人混みに友人の姿を見つけ、賑やかに声を上げながら駆け寄った。 「「おーい、スコール」」 「…あ、あぁ、お前達か」 少しバツの悪そうな顔をして、手を後ろに隠したスコールを二人が見逃す訳が無く…。 「何隠したんだよ」 「いや、大したものじゃない…って、おい」 『ゲーット!』と、バッツはスコールの持っていた物を強奪する。 それはコンビニの袋で、中には同じくホカホカと湯気の立つ肉まんがひとつ。 「スコールもこういうの好きなんだな、俺達もさっき食ったんだぜ」 「?!ジタン…これは俺達のと違うぞ。これは…高級特製旨味肉まん様だ!」 バッツはうやうやしく袋を掲げ、大げさに叫ぶ。 「と、いう訳で…お味見させて頂きまーす!」 ニヤリと悪戯な笑顔をすると同時に信号が変わり、そのままバッツは袋を抱え、小走りに逃げ出した。 「おい、待て!」 「バッツ〜それ持って走ったら直ぐに冷めちゃうぞ〜」 「……(ジタン、心配する部分が違うのだが…)」 「追いかけようぜ、スコール」 スコールの腕を引っ張り、横断歩道を早足で渡る。 更に冷たい風が吹き付け、鼻の頭を赤くしながら、少し迷惑な三人は駆け足で街をすり抜けていく。 バッツが捕まるのは…もう少し。 〜fin〜 - - - - - - - - - - 2015 2.17 UP 8さん…;つД`) |