ミックスジュース
※89?
あやしいおくすり再び


光を感じ、ふと目を開けたスコールは、ゆっくりと身体を起こしテントから顔を覗かせた。
周囲に危険が無い事を確認し外へ出れば、晴れ渡る青空、降り注ぐ朝日と共に爽やかな風…とても心地好い。

続いて、背後から寝足りなそうな顔をしたバッツが、のそのそとテントから這い出る…大きな欠伸と共に…。

「うぇー…眠い…」
「夜更かしも程々にしとけ。昨夜はジタンと何を騒いでいたんだ?」
「…その件でスコールに報告が…いや、謝罪か」
「?」

申し訳なさそうに頭を掻きながら、バッツは事の経緯を話し出す。
時折、脱線しながらも話終えたバッツは一言『ごめん!』と、スコールに向かって手を合わせた。

要約すると…昨夜はジタンとポーションに色んなモノを混ぜこんで遊んでいたそうで(何をやっているんだ…)その時に、バッツがうっかり?間違えて??以前作った惚れ薬を入れてしまい、それをジタンが飲んでしまったらしい。

その惚れ薬はスコールとジタンに対して効果を発揮する様に作ってあったので、必然的にそういう事になります…と…。

「…俺はどうしたらいいんだ」
「数日ジタンに会わなければ大丈夫かと思うけどー…効果が切れるまで」
「1日位ならどうにかなるだろうが、数日は無理じゃないか?」
「逃げ回れば何とかなるんじゃない?飲んだ量も少しだったし」
「中和剤みたいなものは…」
「無い!」

(キッパリ言い切った…)

若干、他人事&無責任気味なバッツに殺意…もとい諦めを感じながら、仕方なくスコールは自分の荷物をまとめる。
武器を抱えいざ脱出…が、瞬間背後に気配を感じ、そ〜っと振り返れば…。

「「あ」」
「ど、どこか行くのか?スコール」

いつの間に起きたのか…今、スコールに会わない方がいいんじゃないかな〜的なジタンがテントの前に佇んでいる。
どうしたらいいか分からず、スコールは目でバッツに助けを求める…が、視線に気付いていないのか、バッツはじーっとジタンだけを見つめていた。

(おい、どうしたら…)

いつの間にかスコールの近くまで来ていたジタンが、心配そうに顔を覗きこむ…頬を赤らめながら…。

「?!!」
「あはは、こりゃ効果抜群だなぁ〜さすが俺の調合薬…いてっ!」

満足そうに笑うバッツの足に軽く蹴りを入れ、スコールはこれから起こる事態を想像すると冷や汗が止まらなかった。



***



数時間後。

「で、あれはどういう事だ」
「だから薬のせいじゃないの?」
「それは分かっている…だが、あのジタンの状態は一体何なんだ」
「あー…えーと、薬の配合のせいかも?」
「……」

結局、逃げるタイミングを完全に逃したスコールは、とりあえず様子を見ることにしたのだが…先程からジタンは、自分の数メートル後方…何故か木の陰からチラチラこちらの様子を伺っている…それはとても恥ずかしそうに…。
たまに目が合うと慌てて隠れる姿が正直らしくなくて、何とも居心地が悪いというか何というか。

「ちょっと恥ずかしがりやな成分が多すぎちゃったのかなー…もう少しイケイケになるハズだったのに」

(イケイケ?)

「配合の割合でそんなに変わるのか?」
「もちろん!純情系からスコールを逆に押し倒しちゃう位積極的なものとか!!」

(意味が分からない…幻術みたいなものか?)

「スコールの事なんか全然好きじゃないんだからねっ!みたいなヤツの方が良かった?」
「…お前の調合の腕は分かった…だが、人の気持ちを完全に薬でコントロール出来るとは思えないが」
「んー…まぁ、そりゃそうなんだけど…」
「とにかく、俺は偵察にでも行って来る。ジタンには適当に言っておいてくれ」

スコールは武器を取り、足早にテントを後にする。
チラリと振り返れば、やはり心配そうなジタンの顔が見え、チクリと胸が痛む。

(悪いジタン…でも、それは薬のせいなんだ…)

元々コロコロと表情が変わるジタンだったが、あんなに照れたり、不安で泣きそうな顔は見たことが無い。
どちらかと言えば、いつも快活な笑顔だ。

(あいつでもあんな顔するんだな…面白いものが見れた)

面白い?

何も楽しくは無いのだが、スコールの心に何かが引っかかる。
いつものジタン、さっきのジタン…交互に思い浮かべては消え…。

(……)

スコールは思い切り頭を振ると、森の奥へと進んでいった。



***



木の陰からゆっくりと出てきたジタンはバッツの隣に腰掛け、スコールが去った方向見つめている…それはとても心配そうに…。

「スコール大丈夫かな…」
「大丈夫だよ、ところでジタン」
「何?」
「もう薬の効果切れてるだろ…いや、実は飲んでなかった?」
「……ありゃ、バレてた?」

先程の表情から一変し、ニッと悪戯な笑み…ジタンがよくする顔だ。

「だって俺の配合完璧だし。ああいう感じにはしなかったもの」
「ちぇっ、読みが外れたか…ちなみに普通に飲んでたらどんな状態になってたんだ?」
「ふっふっふっ…そりゃー押し倒すレベルに決まってんだろ!」
「(飲まなくて良かった…)…あ、そう…」
「だってあのスコールに作ったやつだぜ、その位やらないと上手くいかないと思ってさ」
「ん?まてよ…逆にスコールが飲んでたら…」
「ジタンが押し倒されてたかもな〜ははは」

爽やかに笑いながらとんでも無い事を言うバッツに、ジタンは呆れた視線を送る。

「ま、でも結果オーライって感じ」
「どこが、スコール気味悪がってただけだろ」
「も〜ジタン…それでよく恋愛マスターとか名乗ってんなぁ」
「どうみても上手くいったとは思えないぜ…っと」

ジタンは掛け声と共に立ち上がり、服を叩き身体を伸ばす。

「上手くいって欲しかった?」

ピタリとジタンの動きが止まる。

「え…いや、それは…俺はスコールをからかって遊んだだけで…」
「なぁなぁ、そこんとこどうなんだよ〜スコールがもし落ちちゃったりしたら…」
「無い!それは無い!!」
「ジタン責任取らなくちゃなぁ」

ニヤニヤと楽しそうに笑うバッツに、ジタンは森に響き渡る程の声で叫ぶ。

「そこは薬を作ったお前が、だろー!!」


〜fin〜


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2014 11.19 UP
89というか89になる前の段階でしょうか
グダグダで申し訳ないです
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