海賊と海軍の戦いで家族も住むところも失った夢主が革命軍に拾われる話(OP)

サボ落ちになる予定。オリジナル→原作(DR編)
コアラちゃんとかとも仲良かったらいいなあ。

「わたしの母は戦乱の中で死んだ。...狂乱に陥った海兵に殺されたんだよ。もう、何が正しいのか...わからない」
「!」
「ねえ、何が正しいの?この世界は本当に正しいの?」
「...っ、ちょ、おい!しっかりしろ!」

「...ドラゴンさん、お願いします。この娘を助けてください」
「...革命軍は救護所ではない。それは分かっているのか」
「はい。...でもこの娘、言ったんです。この世界は本当に正しいのか、って」
「...分かった、いいだろう。──至急救護班を手配する、医務室に運び込め」
「ありがとうございます...!」

「...此処、は」
「!目が覚めたんだな!...良かった、」
「...貴方はもしかして...あの時の、」
「あァ、そうそう。あの後慌てて医務室に運んだんだけど...ごめんな、勝手に」
「いいえ、そんな...助けてくれて、ありがとうございました。あのままだったらわたしなんて確実に死んでいたはずです。...もし、良かったら...お名前を伺ってもいいですか」
「おう!俺はサボ。お前は?そういえば幾つだ?」
「#名前#と、言います。歳は15、貴方は?」
「何だ、そう変わらねェんだな。俺は18だ、なんか擽ってえから敬語はやめてくれ、な?」
「...歳上なのに...まあサボさ...サボがいいのなら、構わないけど」
せめても、と敬称で呼ぼうとすると違う違う、と手を振られたのでサボ、と呼ぶと彼は嬉しそうに笑った。
「よし、#名前#。ちょっと待ってろよ、ドラゴンさんを呼んでくるからな」
「失礼するぞ...ああ、気がついたか」
「ドラゴンさん!丁度今呼びに行こうと思ってたところです」
「気配が一人分増えたからな。...少女、具合はどうだ」
「お陰様で、もう大丈夫です。助けて頂いて、ありがとうございました」
「礼ならそこのサボに言うといい。...ところで、此処が何処か分かっているか?」
「いえ、...そうだ!此処は何処なんですか」
「サボから説明されていないのか。...此処は革命軍の船の中だ。この説明で分かるか」
「革命軍...成程、それであんなところに」
「ああ...話はサボから聞いている。家族のことは、......気の毒だったな。救えなくて、すまなかった」
「気にしないでください、貴方がたの責任ではありませんから。...ドラゴンさん、厚かましいとは思うのですが、お願いがあります」
「わたしを...革命軍に入れてくれませんか。下働き、雑用、何でもします。...この世界はやっぱりおかしい。どうにかして、世界を変えたいんです」
「...いいだろう。その意思の強い目が気に入った、名前は?」
「#苗字##名前#といいます。...よろしく、お願いします」

この2年後、サボ20歳、夢主17歳でそれぞれ参謀総長、戦闘部隊総指揮官となる。夢主は千人近い部下を率いて戦いを指揮。参謀総長であるサボと戦略会議を行うことも。

夢主をコトコトの実の能力者にしたい。

▽コトコトの実 とは
「言霊使い」の能力。文字通り、例えば「黙」って言ったら相手が喋れなくなったりとか。「爆ぜろ」とかでも良い。但し、冗談や口喧嘩ではなく、本気で言ったときにしか能力は発動しない。
仲間や大切な人を傷つけられて本気で怒ったときに「消えろ」って言ったときが凄かった、とか。あっさり消滅させちゃうとか。自分や仲間の怪我も治せる。しかし、他人の意思や感情を能力でどうこうすることは出来ない。他の能力者同様、水や海楼石には滅法弱い。
初めのうちは能力を上手くコントロール出来ず、発動を抑えられなかったため不用意に命令口調で話が出来なかったが、訓練の末コントロールが可能に。今では、「マジック・スペル」と口に出すことで能力を解放。相手との能力に差があるほど効き目は薄くなる。

「はーっ、やっと終わった!」
机の片隅に山積みにされた書類の最後の1枚に目を通し、素早くサインを終える。
「お疲れ様です、#名前#さん」
頼りになる我らが副官、ルイが苦笑しつつほかほかと湯気を立てるコーヒーを渡してくれた。革命軍の料理長自慢の特製ブレンドである。わたしが使うこの執務室から食堂まではそこそこ距離があるはずなのだけど、いつの間に淹れてきてくれたのだろう...いい加減なわたしには勿体ないくらい、相変わらず優秀な副官だ。
「ありがとう、助かる」
それを受け取ってちらりと窓の外に目を遣ると、いつの間にか降り続いていた雨は止み、雲の隙間から太陽が顔を出していた。その光がきらきらと、ふたつの金色に反射して輝くのが見える。──丁度任務帰りなのだろうか、サボとコアラが連れ立って中庭を歩いていた。楽しそうに何か話している。
──いいなあ、
思わず口を衝いて出そうになった言葉を慌てて喉の奥に押し込める。俯いた視界に入った自分の長い髪を認めて、思わずため息が零れた。...こういうとき、日に照らされて煌めいていたあの金色の髪が羨ましくなる。闇に融け込む藍色の髪を持つわたしとあんなふうに輝く彼らとでは生きる世界が違うのだと、その事実を改めて目の前に突きつけられて思い知らされるのだ。
「...#名前#さん?」
不意に黙り込んでしまったわたしに掛けられた、ルイの気遣うような声音がわたしを一気に現実へと引き戻した。心配の色を湛えた瞳と目が合って、何でもないように笑いかける。
「ああ、ごめん。何でもないんだ、気にしないで?それよりルイもずっと報告書とか作ってくれてたでしょう、一旦休憩にしようよ。この間イワさんに貰った美味しいお菓子があるんだ」
「ありがとうございます、ご一緒しますよ」
...ちゃんと笑えていればいいんだけど。わたしのそんな思いを見て取ったように、ルイは笑ってそう頷いてくれた。その声を受けて、わたしは立ち上がってそそくさとお菓子の用意を始めた。...窓の向こうから一瞬だけこちらに向けられた鋭い視線には、気づきもしないで。

ルイっていうのはサボと同い年の好青年で、文中にもあるように実に優秀な副官(つまり副指揮官)。彼は夢主に恋愛的な意味の好意を抱いているが、咲良はそれには気づいておらず、気心の知れた仲間としての親愛を持っている。サボはルイの持つ感情に気づいているし、自分と年の変わらない男が夢主の傍に控えているのが内心不満で仕方がない。上記の文中でちらりと夢主のほうを見上げたのはそこにいる夢主への思いの表れとルイに対する牽制......のつもり。

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