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叶わない恋心(死帳)

『きみの名前』の転生主視線の話

____こんなに辛いなら、君とで会わなければ良かった。



君に話しかけられたあの日が懐かしい。

温かく私たちを包み込んだ茜色。

いつまでも続く現実にたまらなくなって、消えてしまいたくて、楽になりたくて、それでも自分から終わろうとすることすらできなくて、公園でうずくまっていた私に手を差し伸べてくれた。

じんわりと胸の奥が温かくなって、

でも、それ以上に何を考えているのかわからない"人"が怖くて、

私は君を酷い言葉で遠ざけたね。


それでも君は飽きずに私と話してくれた。

「・・君なら私を・・」

こんな腐りきった世界から、連れ出してくれる?

そんなこと言う勇気がない弱虫な私は、相変わらず臆病なまま、

真っ直ぐと前を歩き続ける君に向かって手を伸ばしては空を掴む。

・・思えば私、君のことあまりにも知らなすぎたのかもしれないね。

私は他人と距離を取って生きることしか知らなかったから。


君の名前を聞いて、私はすごく嬉しかった。

誠意を見せてくれた君に敬意すら払っていた。

君に出会えたことに感謝していた。


・・でも今はそれが苦しいよ。

抱いてしまうよ、願ってしまうよ。

君と過ごした幸せな時間。

茜色を見る度、叶わない恋心を思い出してしまう。


「また明日」だなんて、言いたくなかった。

止まらない涙を欺いた笑顔の下に隠した私を見て、君は何を思っただろう。

自分がついた嘘なのに、たまらなく苦しい。



こんなに辛いなら_____


あふれ出した涙が冷たい茜色に吸い込まれる。

もう戻れないのに、君に会えないのに。

振り下ろされる銀色を受け入れながらも、

それでも疼いてしまうんだよ。


君に会いたいって。


ああ、落ちていく。霞んでいく。

君の笑顔も。

想いを焦がした茜色も。


君は私を覚えてくれているだろうか。

どうか、覚えていて。消さないでいて。


薄れてしまった世界を見つめる。

ああ、また茜色。

茜色に向かって手を伸ばす。



・・もっと、君と一緒にいたかったな。

・・君に私の名前、呼んでほしかった。

・・ありがとう、大好きって、言いたかったな。

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