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蝶のような少女

彼女は蝶のように軽やかな足取りで進んでいく。本当に人間なのに、鬼のような身体能力だ。きっと血のにじむような努力をしたんだろうな。脱帽するしかない。

「ほらほら、愛支さん。鬼舞辻に嫌がらせをするんでしょう?私もあなたが鬼舞辻に嫌がらせをするところを見てみたいので、この先にいる鬼はあなたに譲ってあげますよ」
「し、しのぶちゃん…あ、ありがとう」
「…そのおどおどした話し方、どうにかならないんですか?」
「うっ…だ、だって、すごく緊張するんだもの…」

だって女の人はすごく怖い顔をして私を見るし、笑いながら痛いことするし、食事に毒を混ぜるし、よくわからないことで因縁をつけて、私を殺そうとするんだから、少しくらいおどおどするのは許してほしい。私にとっては、女の人が隣にいるだけで、心臓を握られている気分になるのだ。

「お、おかしいな。確かに鬼の気配なのだけれど。鬼舞辻の呪いの気配がしないな…」
「…あまりにも、もたもたするようなら、私が代わりに斬っちゃいますからね」
「わ、わかったから。殺意抑えてよ、私の術が発動しちゃうよ」
「あら。それはすみません」

や、やっぱり、目が笑ってない…!
あまりにも怖すぎるので、一気に加速して青年と鬼を抱きかかえる少年に向かうことにした。

「あ、やっぱり、呪いが解除されてるんだ」
「…!!」

青年の刀を鉄扇でいなして、眠っている鬼に急接近したことで、確信した。しかし、鬼舞辻の呪いを解除した鬼がいるとうわさで聞いていたけれど、まさか本当に実在しているとは。鉄扇で刀を防ぎながら目の前の鬼を分析していく。

「でも、鬼舞辻の血は沢山もらっているのね、この鬼」
「い、今あなた!!」

心の中でつぶやいていたと思っていたら、声に出ていたらしい。動けないでいる少年にいきなり声を掛けられて驚いてしまった。

「あなたも、鬼舞辻の名を…」

驚く少年に答えようとするが、可憐な声によって私の声は遮られる。

「急に置いてけぼりにするなんて、意地悪ですね。愛支さん」

うわあ。やっぱり、どうしてかすごく怒っている。

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