◎冬休み明け
冬休みが終わり、ホグワーツも賑やかになった。
愛しのリリーにも会えたことだし。
しかし、今はこの目の据わったシリウスの方が重要だ。
「・・・・やっと出られた」
「おつかれさま」
彼の家のことだ。きっと、かなり大変な扱いを受けていたに違いない。
仕方がないので、僕達は手分けして彼の大好物のチキンを取ってあげた。
「・・にしても、愛支の話、マジなのか」
「うん。マジマジ」
僕達は愛支の許可を取って、冬休みの出来事を大雑把に伝えていた。
しかし、本当に大雑把なあので、彼女がどうして鬼になったかなどは話していない。
・・というか、話しづらい。
いくら彼女が過去のことだと割り切っているのだとしても、やはりそう軽々しく話していいないようではないと思うのだ。
とはいっても、シリウスだけ知らないというのはな・・。
・・全く、彼女は本当に面倒なことを僕達に押しつけてくれた。
「愛支のこと、驚いた?」
「驚くかよ。むしろ納得したわ」
「私、あなたのそういうサバサバしたところ、結構気に入っています」
「ぅわっ!愛支!!」
「お返しに特大チキンを持ってきてやりましたよ」
「こんなサイズじゃ、俺が食べられるわ!!」
シリウスも楽しそうだし、あの後、リリーが愛支を止めにやってきたし、あのリリーが僕に話しかけてくれたから、僕もう昇天しそう。
ああでも、嬉しくてテンション上がっていたら、頭がフラフラして、眼の前が血の海になっていたのは驚いたかな。
「話すべきだと思う?」
愛支のことを心配しているリーマスは、少し迷っているようだった。
「・・いずれは知ることになるだろうし」
「悪戯仕掛け人の間に秘密はなしだ」
ピーターと僕がそういうと、またリーマスが表情を曇らせる。
「・・そうだね」
・・ああ、リーマス。僕達は君が何を抱えていようと、ずっと君の親友で有り続けるというのに。
そんな悲しそうな顔をしないでほしい。
言葉を選びつつ話すのは苦労した。
シリウスはただそうかと呟いただけだった。
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