庭の芝生が朝日に照らされる少し前。
今日もナマエはメイド服に袖を通す。
毎日のことである。
親の代からジョースター家に仕えている。
ナマエも同じように家の仕事の手伝いをしている。
まだ若く、覚えていることが少ない未熟なナマエにもきちんと仕事が与えられていることは、ナマエの自信と誇りにつながっていた。
主であるジョースター卿はとても素晴らしい人だ。
これは親からのすりこみなんかではなく、事実である。
彼のご子息であるジョナサンは心優しく、卿の穏やかさが強く引き継がれているのだろうと感じる。
ジョジョ、という愛称で呼ばれる彼はまっすぐに育っている。
家にいる使用人の中でナマエの年齢が一番近いので、まるで実の姉のように慕ってくれている。
学のないナマエは彼の気持ちを嬉しく思いつつも恥ずかしく思っていた。
すると、卿は女性でも勉強したいならするべきだ、とナマエに学びの機会を与えてくれた。
主にも恵まれ、共に働く人たちも奇策で素晴らしい人ばかりだ。
文句なんて天気の悪いときだけだった。
数年前にディオという少年が養子に迎えられるまでは。
「ナマエ。あれを見ていたね」
ディオがやってきて少し経ってからのことだ。
ジョジョの相棒とも言うべき愛犬ダニーが焼け死んだ。
事故だという話だ。
盗人がダニーをだまらせるために木箱につめこんだのだと。
それに気づかず焼却炉にいれてしまったと。
しかし、ナマエは知っていた。
そこには事実と異なる箇所がある。
たしかに見ていたのだ。
ディオがダニーを呼び寄せたことを。
ジョジョに似て優しいダニーは初対面のときの暴力を忘れてディオに近づいていった。
普段ダニーにさわろうともしないディオ様が珍しい、とナマエは思いながらその様子を仕事の手を止めてみていた。
見慣れない木箱のそばでダニーをなだめるディオを見て、自分の仕事を思い出す。
あわてて仕事に戻り、しばらくすると焼却炉のほうで騒ぎがあった。
なにかと見に行こうかと思って近寄ると、さきほど見た木箱とそっくりの屑と、無惨な姿のダニーがあった。
警察の事情聴取もあったが、真実を言うのははばかられた。
それにディオがそんな非道な行動をとるわけがないと信じていた。
だが、今ナマエは確信した。
ディオがダニーを殺そうとしたのだと。
「あれ、とは何でしょう」
「しらばっくれるんじゃあないよ」
ディオの私室の向かいにある部屋を掃除していると、ディオに呼び止められた。
こっちへ来いと部屋に連れられていき、そのまま扉を閉められてしまう。
「ディオ様、扉をあけていただけないでしょうか」
使用人として大した用もなく私室に入るのははばかられるし、二人きりで密室にいるというのも後ろめたさがあった。
いつも様に廊下や通りがけに少し会話を交わす程度でないと落ち着かない。
「そんなこといいだろ」
「ですが・・・」
「それより見ていただろう。ダニーのこと」
「っ!!」
「聞いているんだ。答えてくれなきゃわからないだろ」
不機嫌な口調を隠そうともしないディオに手首をつかまれ引き寄せられる。
「なっ!?」
なにをされたのか驚いたナマエはディオを見上げる。
至近距離でみる不自然にゆがんだ口元は薄い桃色がうかんでいる。
うらやましくなるほどなめらかな肌はまだ幼い顔立ちを包んでいる。
「早く言ってくれないか」
「は、はい。ディオ様が木箱の近くダニーを呼び寄せているところは見かけました」
なんとかそう答えるが、果たしてこの回答がよかったのかナマエにはわからない。
未だに解放されない手首が少し痛い。
「はぁ・・・・・・」
重いため息のあと手首が離された。
自由になった両手首を胸元にあてて扉に背中を預ける。
逃げるようなナマエの行動をチラリと目でおうディオ。
「面倒だし君には全て話すよ。ナマエが思っている通りだ。ぼくがダニーを殺そうとした」
流れるように事実を告げられどうしたらいいのかとナマエは迷う。
そうだ。
彼女は事実を知ってなにをすればいいのだ。
結果から言おう。
なにもできなかった。
事実をジョジョにはもちろん卿にも伝えることはなかった。
「これを誰かに言うつもりかい」
一方的に事実を打ち明けたディオ。
彼の浮かべる挑発的な笑みは蝋燭の炎に紛れて闇にとけそうだ。
「あ・・・・・・その・・・・・・・・・・・・」
主に伝えるべきか悩んでいるナマエが言葉をつまらせていると、柔らかい指が彼女の頬を包んだ。
いつのまにか。
気がつけばディオとナマエの距離は近い。
とっさに距離をとろうと後ずさるが、扉に背中を軽くぶつけておわった。
「証拠なんてなにも残していないんだ。君がどうであれ言わせないよ」
ふわりと品の良い香りが鼻をくすぐったと思えば暖かいなにかがナマエの唇にやわらかく押し当てられた。
角度をかえて、口をこじあけられ甘い舌に蹂躙される。
「ふっ・・・・ん、っあ・・・・・・はっ、ふ・・・」
柔らかい。
つたなさの残る動きだが、貞操をきちんと守り続けていたナマエにとってはそんなこと気づきようがなかった。
視界に広がる光景は全てが近すぎてぼやけている。
キスされたのだ。
そう認識してからナマエはディオの手から逃れようと身をよじらせる。
細い体のどこにこんな力が秘められているのだろう。
抜け出せない。
「・・・んっ。ほう・・・・・・・・・」
「はぁ・・・・・・はぁ・・・」
やっと顔がはなれたころにはナマエはじわりじわりと体が熱くなっていた。
自分よりもまだほんの少し小さな体におさえつけられてみっともなく息があがっている。
ディオもきもち頬が染まっている。
「貧民街には君くらいの年齢で体を売る奴なんて捨てるほどいたんだがな。良い環境で育ったんだろう」
ディオは座り込みそうなナマエの腕をひいてベッドに放り投げる。
「えっ。なにを・・・」
「うるさいぞ」
そのまま膝下まであるメイド服の裾をずりあげられていく。
それを拒否するようにおさえると、厳しい声で一蹴される。
「ですが、だめです・・・ディオ様。お止めください」
婚約相手でもない人に足を晒しているだけで恥ずかしくてどうにかなりそうだった。
ディオをつっぱねて逃げ出すことはできない。
手をあげるようなことだってもちろんできない。
言葉だけでもどうにか拒む姿勢をとっている。
これがナマエにできる精一杯の抵抗だった。
そんなささやかな足掻きを鼻で笑うディオはなにを考えているのだろうか。
彼の考えの見当がつかず、あれよあれよという間に下半身がとても涼しい格好になった。
「濡れているじゃないか」
「え・・・あ・・・・・・」
外気にふれた箇所から熱を奪われているようだ。
それなのにひどく熱い。
ナマエにそんなことかんがえる余裕はなく、まともに話ができるほど頭がおいついていない。
できることといったら、言葉にならない声をあげるだけだ。
ディオの指が何度かなぞるように滑らされ、ほんの少しだけ水音がなる。
「っ〜・・・」
抵抗するように腰を浮かせるもののすぐに追いつかれた。
そろりそろりと入れられた指の形がありありとわかる。
はじめての異物感に拳を握りしめて耐えるナマエ。
時折、腰の下の方からじわりと痺れるような感覚を覚えながら、かと言ってどうすることもできずにディオの気がおさまるまでされるがままである。
「・・・っはぁ、んうッ・・・・・・・・・」
唇をかみしめて気を紛らわせようとするが、洩れる自分の息はおさえられない。
「ナマエ」
「は・・・はい・・・」
「どうなってるか説明してみろ」
「え?・・・っぁ・・・・・・?あ・・・ディオ様のゆびが・・・」
唐突な発言の意図がつかめず、不思議な顔をしながらおずおずと自分の状況を説明しはじめるナマエ。
彼女の姿をディオは冷ややかで、かつ好奇心を含んだ瞳におさめていた
「でたり、は、・・・ぁっ、いったり・・・・・・臓器がぁ・・・あっ・・・圧迫されるようで」
「・・・」
「こわいっ・・・んッ・・・・・・です」
「・・・そうか」
指を引き抜いてナマエを見下ろすディオ。
少年ならではのしなやかな足が白い。
「それじゃあ、こっちだ」
じとりと湿ついた視線で見下される。
まだ息も整わないが、半ズボンの下から小さく主張をしている箇所を見れば経験のないナマエでも彼が言わんとしていることはわかった。
ナマエはだるい体を起こしてディオの半ズボンをくつろがせる。
かわいらしいボーダーの靴下も脱がすか迷った。
しかし、自分が汚してしまったことも考えて脱がした。
まだ体毛を処理する必要がない子ども特有の柔らかな肌にそって靴下をおろしていくと子どもじゃないから自分でできると怒られる。
そのままディオの手によって脱がされた彼の靴下はナマエが拾って畳んで端におく。
妙なところでいつもの仕事を忘れていないナマエに感心する。
「そんなことより。こっち。なんとかしてよ」
ナマエの手を肉茎に誘導する。
淡いピンク色でまだ汚れを知らないソレに手をのばして、軽くしごいてみる。
手のひらで摩擦が生じた。
「いっ・・・・・・・・・」
端正なディオの顔が小さく歪んだことを確認してナマエはすぐに手をとめる。
眉間によった皺はナマエの不安感を増幅させた。
ただでさえ背徳的で、不慣れな行為でたどたどしさが増すだけだ。
「す、すみません。大丈夫ですか?」
「はぁ・・・」
「申し訳ございません!」
はっきりとした答えはかえってこないが、不機嫌そうに吐き出された息でわかる。
涎でぬらすんだよ、と教えるディオの言う通り、口内でためた涎をたらす。
すると、艶をたたえた膨らみをしごいても、さきほどのように眉をひそめられることはなかった。
「っ・・・・・・ふっ・・・ん、っ・・・」
代わりにうわずった声と聞いてるこちらが息がつまりそうな呼吸音。
それにわずかながらに上気した頬。
擦られると具合がいいのか、と納得したナマエは言われなくともピンク色のそれをくわえる。
「ん・・・んれっ・・・・・・らいじょうぶ・・・でふか・・・・・?」
「なっ!?・・・ぁ゙!?」
口の中で小さく動く反応で、苦しそうな声でも続けたほうがいいと思いそのまま少しきつくしゃぶる。
唇の端から涎が垂れているがそんなこと気にならないほど夢中で口をすぼめて肉茎を出し入れする。
「はぁッはあ、も・・・うッ・・・はなせッ・・・」
ぐいっと顔を鷲掴みにされてはなされる。
なぜか涙目になっているディオに悪いことをしたのかもしれないと謝罪を述べようとしたときだ。
柔らかなベッドに体を沈められていた。
急なことに目をぱちくりとさせているが、上に乗りかかったのがディオだと気づいてまた改めて抵抗する。
むき出しのままのお互いの性器がふれそうになったとこで我に返る。
いままでのことは、まだなんとかなる。
ほんの悪戯や好奇心からくる行動だろう。
これ以上はダメだ。
ナマエでも分かる。
関係を持つことは卿への裏切りにもなる。
それにディオ本人の箔を落とすことになる。
「ダメですディオ様!いけません!わたしは使用人ですからこんなこと・・・!」
「うるさい」
「っい"ぁっ・・・う"ッ・・・!!!」
細い指よりも一回りも二回りも大きなものを有無を言わせず突き入れられ悲鳴じみた声があがる。
体はもちろん痛いがそれよりも心が痛んだ。
自分よりも少し小柄な体に好きなようにされてしまっている。
覆い被さっていたが今ではナマエにしがみつくようにして腰を必死に振っている。
肩口を噛まれている。
大きく噛まれたので舌がちろちろ当たる。
あたたかい。
そのまま彼の口の端から涎が垂れても気にならないほどディオは夢中のようだ。
中の鈍痛と動きに耐えながら彼の口から聞こえる吐息のようなうめき声に耳を傾ける。
引き抜かれ、腹に白濁をまき散らされてやっとナマエは解放された。
中に出されたらどうしようかと思っていたけれど、それは免れたようで安心した。
まだ異物感の残る下腹部が気になったが明日も仕事がある。
いつも通りにつとめれば大丈夫だから。
自分にそう言い聞かせて早く出て行けと催促するディオの部屋から去って明日に備えた。
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