「わたし、最初リーダー見て変質者!って思ったんですよー!だからその恰好改めたほうがいいと思うの」


「それ俺らも言ってるんだけどぜーんぜんッ聞かないの。やっぱヤバいよねあの恰好」


「メローネも人のこと言えないからね」


暗殺チームに異動してから早3か月。
すっかりチームに馴染んだナマエはメローネとソファに座っていた。
任務にでかける用意をするリゾットに容赦のない言葉を投げかける。
こんな会話は彼が任務に行くためにあの恰好に着替える度に繰り返される。


「これが理解できないなんてナマエはおこさまですね〜」


「わ、ちょっと。ここで押し倒さないでって」


「…いってくる」


「「行ってらっしゃい!」」


少し不機嫌な表情で玄関を開けたリゾットに二人で仲良く声をかける。
バタンと静かにしまったドアだが、すぐに開いた。


「ペッシペッシペッシペッシよォ〜ああいうときのシニョリーナはそっとしておくのが男ってもんだろ!?」


「ご、ごめんよ!兄貴ィ!」


「プロシュートが帰ってきた!!」


「あ、ナマエ…」


入ってきたのはプロシュートとペッシ。
今日もペッシが何かやらかしたらしくプロシュートは怒鳴っている。
そんなことは気にしないナマエはメローネの腕から離れてプロシュートに駆け寄る。


「おかーえり!ペッシもおかえりなさい!」


「ご機嫌じゃねーかナマエ」


「えへへ、もちろんだよ!だって…」


「わかってる。おいペッシ!」


「はい!兄貴ィ!」


勢いよく返事をしたペッシからナマエに紙袋が渡される。
プロシュートはニヤリと口もとを歪めてナマエを見下ろす。


「これが良かったんだろう?」


「!!!うん!そう!ありがとーーー!」


ただでさえ整っている顔が挑発的な表情と相まって、少しどぎまぎしてしまうナマエ。
それをごまかすようにプロシュートに抱きつくナマエを見て非常につまらなさそうな表情を浮かべるのはメローネだ。


「ナマエ!ナマエ!こっちにおいで!」


両手を広げてナマエをまつメローネ。


「お前ら何やってんだ?」


今から外出するのだろう。
ラフな格好をしたホルマジオが騒がしい玄関前を見て尋ねる。


「何もやってないよー。ホルマジオこれからどこか出かけるの?」


メローネの言葉は無視して、プロシュートに抱き着いていた腕を解きホルマジオの近くに寄る。
ホルマジオはナマエの頭を無遠慮にわしゃわしゃとなでながら答える。


「小腹が空いちまってな。作るのも面倒だし、ちょっと外で食おうかと」


「あの店のドルチェたべくらべしない?」


「お、良いぜ!行くか」


「うん!用意してくるからちょっと待っててね」


そう言って自室に戻るナマエを見てポカンとした表情を浮かべるのはメローネだけではない。
プロシュートも同様の表情を浮かべた後舌打ちをした。
それを聞いたメローネはソファで横になりながら毒づく。


「お土産でナマエを釣れたと思って安心してたな」


見え見えだっつーのとテーブルに置いてある雑誌を読む。


「こんなとこで盛ってるお前に言われたくないんだよメローネ」


「遊んでるだけだよ」


「半勃ちさせながら言うもんじゃねーぞソレ」


「あ〜そうカッカするなって。お前らも一緒に行くか?」


悪くなった空気を察しホルマジオが提案するも。


「…気がのらないし、やめとく」


「夕飯の仕込みがあるんだよ」


二人はそれを一蹴する。
そんな彼らの様子を今日もうるさいなーと鏡の中からイルーゾォは眺めていた。


「イルーゾォ?どこー?」


二階からイルーゾォの名前を呼ぶ声が聞こえる。
彼はすぐさま鏡の中から自室に戻る。


「ここだけど」


「あ!イルーゾォだー!」


「そうそう。俺だよ。で、用があるんだろ?」


目の前にいるナマエはいつの間にか身支度を整えていた。


「そうそう。これからホルマジオと外出するね、っていうのと。何か欲しいのあったら言ってねっていうのと。それとも一緒に来る?っていうのと。ギアッチョが帰ってきたら眼鏡を壊したのは私ですごめんなさいって伝えておいて!」


一気にまくし立てた。
それに逐一答えるイルーゾォ。


「わかった。必要なものは特にない。俺はやめとくよ。それは自分で伝えなさい」


「…はーい」


ナマエがつまらなそうに頬を膨らましていると階下から声が聞こえる。


「お、ギアッチョ。お疲れさん」


「ああ」


ギアッチョが仕事から帰ってきたようだ。


「リーダーなら夕方に帰る予定だとよ」


「そうじゃなくて、アイツは…」


ナマエは急いで階段を駆け降りる。
これだけやかましく来るのはナマエ以外にありえない。


「おい!!!ナマエッ!!!!!!テメー俺の眼鏡こわ「ホルマジオ!いこっ!!」


ナマエは勢いを殺さないままホルマジオの腕を掴んでアジトを飛び出た。
追いかけるようにアジトのドアを開けたギアッチョを振り切るため小さくしてもらうよう頼んでからナマエは声を張り上げる。


「眼鏡壊してごめんなさーい!」


「帰ってきたら覚えとけよ!」


「やだー!」


情けない返事を聞いて追いかける気が失せたのか、ムカつく奴だぜとアジトの壁に八つ当たりをするギアッチョ。



人の命でご飯たべてるけど、
いつのまにかチームのメンバーが穴兄弟になってるけど、
そんなの関係ないくらい今日もアジトはたぶん平和です。







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