同棲を始めて半年。
冬も終わり春が訪れてきている。
今日は嘘が許される日、エイプリルフールだ。
イタリアだとペーシェダプリーレなんて言うらしいが、呼び方なんて正直どうでもいい。
ナマエはホルマジオの帰ってくる時間より少し前からせっせと嘘の準備をしていた。
ゆったりしたワンピースを来てお腹にクッションを仕込んだ自分の姿を鏡で確認する。
嘘は嘘でもきわどい嘘はついて関係をこじらせたくない。
そこでこの日につくベタな嘘、妊娠しちゃったーと言うことにしたのだ。
きちんと避妊してるし、なにより妊婦のお腹が一日で大きくなるはずがない。
ホルマジオはきっとすぐに嘘だとわかって私の姿をみてしょうがねえなあ〜って笑うだろう。
その笑顔を容易に想像でき、ナマエも知らず知らずのうちに頬がゆるんでしまった。


「帰ったぞー!」


ドアの音と陽気なホルマジオの声に気づきドアに背を向ける。


「………」


「おい、どうしたんだよ」


いつもならおかえりなさーい!と駆け寄るナマエがいつまで経っても振り返らずじっとしている。
不審に思いナマエの反応を伺い待つホルマジオ。
(計画通り、計画通り!)


「あのね………」


にやけそうになる頬を引き締めて振り返る。


「…その腹」


「妊娠したみたい」


な〜んてね!っとクッションを取り出しておかえりなさいの挨拶をするつもりだった。



「まじかよ…!グラッツェ!男か?女か?」


ネタ晴らしをする前にお腹に配慮したかのような緩い力で正面からだきしめられる。


「え、あ、ちょっと!」


「あーどっちでも良いや。どっちでも。オレとお前の子どもだもんなあ、ナマエ。嬉しい。ありがとう。もちろん産むよなぁ?」


「あの、ねえ」


「子どもって色々用意するもんがあるよなあ…でも服なんかは性別が分かってからじゃねーとチグハグになっちまうからよお、先に買うんならベッドとかオシメか?」


「う……………」


本当のことを告げる隙を与えられず、さらに言葉を繋げられてしまう。
狼狽したナマエを確認すると抱きしめる腕の力がこもる。


「しょうがねえなあ〜………そんな顔するなって」


二人に挟まれたクッションが変形していく。
頬にキスがおとされた後そのまま唇におとされる。


「…最初から嘘って分かってたでしょ?」


「悪ィ悪ィ。ついからかいたくなってよお〜」


「もうッ」


ホルマジオに何度も食むようにキスされながらじりじりと寝室の方へ追いやられる。


「んっ、ご飯まだ食べてないじゃん」


「なんだァ?腹へってんのか?」


「そうじゃないけど…」


「じゃ、ほらよッ」


「わあッ!」


せっかく食事の用意もしてるのに、と不満に思う間もなく勢いよく抱え上げられる。
その拍子にお腹からクッションがこぼれおちた。


「相変らず軽いな、ナマエはよぉ。ちゃんと飯くってんのか?」


「いつも一緒にご飯食べてるじゃん」


「そうだな。ホラ、脱がすぞ」


「はーい」


優しくベッドにおろされて、そのまま服を脱がされる。
子供みたいに両手をあげたら脱がしやすいな〜とホルマジオはニコニコ笑う。
いつだって冗談言ったりふざけても楽しくさせてくれるホルマジオは最中だろうと色々しゃべる方だ。
恥ずかしいからやめてって言ってもなおらないので、諦めてる。


「綺麗だな………」


「ぁ…………はぁ、ぁ」


着ていたものは全てはがされてしまった。
今さら裸を見られたからと言って恥ずかしいとは思わないけど、じろじろ見られると照れる。
足を開くのを促すかのように太ももの内側に手を添えられて、抵抗せずに広げる。


「触る前から濡れてんじゃねーか」


「だってぇ、ホルマジオのちゅー好きだもん」


「あんま可愛いこと言うなって」


「可愛くない。ほんとに好き。全部すき」


「そうだよな〜。オレの指も好きなんだろう?」


「あ、や、好きッ、ぁ、はあッ、うん、好き」


具合を見てそこそこの愛撫で充分だと判断したのかいきなり指を入れられた。
ぐちぐちとゆっくり中をかき混ぜられる。


「知ってる。尻までたれてんぞ。おら」


「あ、やめっ、あっ、ソコさわっちゃだめぇ!」


あふれ出た愛液をすくいあげお尻に塗りこまれる。
そっちの方は全く開発したことはないし、そういう趣味もない。
いやいや首を振ってたら指とは違ってぬるりとした感触が。


「悪ィって、ほら。舐めてやっから許せって」


「んんぃ!〜〜〜ッはあ、はあ、あ、ぬるって、ぇえ、入れるのだめぇ」


「それは聞けね〜な…」


「やぁ、あっ、んくゥ、そ…そんな、あ、ッひぁ、音ッたてないでっ」


顔を離さずに話されるせいで陰部に吐息があたってそれにも反応して腰がびくりと反応する。
にゅるりと中に舌をねじ込んだり、舌先でクリトリスをはじかれながら耳に入る音が一番恥ずかしかった。
わざとじゅるじゅると滴りを啜る音も羞恥を掻き立てられて頭がグラグラしている。


「テメェがひっきりなしに出すから音が出るんだろ、ナマエ」


「くっ、あッ、も〜……い、いじわる!!」


「おッ!?」


羞恥と快感に震える体を無理やりおこして、ホルマジオの肩を軽く蹴飛ばす。
鍛えてる彼はそれくらいで後ろに倒れることなく、秘部に這わせていた舌を離すだけにおわった。
それで十分だ。
ホルマジオの体の下に潜り込み、張りつめた肉茎に手を添える。


「ッ、おいおい」


「私もするのッ!私ばっか恥ずかしいのずるい」


「しょうがねえなあ〜」


そのまま張りつめたそこに口づけようと頭を下げたら撫でられた。
しても良いっていう許可だろうか。
撫でられる感触が心地よくて頬がゆるむ。


「はむっ、んッ…………んぐっ…ふぅッ、ん…………」


「くッ、あ…………」


「んはッ………ぁっ。ホルマジオッ、ね、きもちいーい?ねえっ……はん…」


「ああ………気持ちいい。もっと強くできるか?」


咥えたり裏筋に舌を這わせながら尋ねる。
言われた通りにさっきより少し力をこめて。
でも彼の様子を見ながらちゃんと緩急はつけるように。
低く唸るようなホルマジオの喘ぎに腰がぞくぞくする。


「……んぐっ、んっ…っハァ………ん……」


「あー…イきそ………」


「だ、だめだよ!」


咥えていたものを口から離す。
ぶるんっと少し揺れてもぬらぬら濡れて光ってるだけで精液はでてない。
制止の意味もこめてぎゅっと手に力を込める。


「ッ……」


「ぁ……中でだして、入れて、ね?」


「…………」


「だめ?入れてくれないの?中はいや?」


「いやじゃねーよ。足広げてな」


「ん」


後ろを振り向いて避妊具をとっているであろうホルマジオに言われた通りに足を広げて待つ。


「ホ、ホルマジオ…?」


しかし、いつまで経ってもホルマジオは振り返らない。
不思議に思ってホルマジオの肩をたたこうとする。


「ねえ、どうしたの?ホルマジ…ん!」


「なぁナマエ」


「ああぁあッ!!っぐ!ひっ!ああッいきなりっ……!」


振り返ったホルマジオが覆いかぶさってきたと思ったら彼のものがいきなりねじ込まれる。
指とはくらべものにならない質量にいきなり突き上げられて、名前を呼ばれてもまともに返事ができない。


「あっ あっすごいっ はげ、しいッだめっはぁッ、アッ、や、イっちゃうぅッ」


「…くッ……ハハッ…ああ、いいぜ」


「ひっ!やあ!一緒がいいっ!やだッ、やっ、ああっひぁっあっ……んあぁあッ…−−−−−ッ」


容赦しない攻めに耐えきれず全身を震わせながら目を閉じる。


「はぁ…………あっ、だめぇ…いまイったばっか……ん…………はあッ、あ…はぁ、んッ…」


快感の余韻に浸ることも許さないと言うようにゆさゆさと腰が動かされる。
じりじりと熱で焦がされそうだ。


「……ほんとに孕んじまえばいいのに」


「え?」


ホルマジオの言葉に緊張した体をそのまま抱きしめられる。
深く突き刺さったままあぐらをかいたホルマジオの上に座る体制に動かされた。


「んあッ…だめェ、この体勢すご、いっああっ、あ…ふっあ」


自分の体重のせいで余計深く抉られてたまらずホルマジオに抱き着く。
肌と肌の隙間がなくなるくらい密着したら必然的にホルマジオの声が耳元で聞こえてくる。


「あぁ、これはヤバイな」


少し切羽詰まったような声がすぐ届く。
それだけで再び達しそうになるのを背中に腕を回してなんとかやり過ごそうとする。


「ひぁん、あッ、ん、声ちかいッ、だめ、耳でしゃべっちゃ」


ぎゅうっとしがみついても動きを緩めてくれるはずがない。
ホルマジオもそろそろ限界なんだろう。
今まで以上の激しさでからだを揺さぶられる。


「ひっあ、んあぁ、あっ、あっ、あっ、あっ、ひゃっ…」


「お前ェの奥によぉー、ズッポシ出しちまってさ」


「んあァっ、だめだよ、赤ちゃんできちゃうぅ」


「何回も何回もッ……くっ…はぁ…出せば当たるんじゃねーの?って」


「や、だめっ、だめえ恥ずかしいこと言わないで…ぇ…」


「…………だめとか言ってッ、…はッ…締めてんじゃねーよ」


「ごめんねッごめんなさい、でも、あ。気持ちいの。すごい。ダメになっちゃう、は、アッ、気持ちよすぎてダメになっちゃうのぉ」


「あーーー…ったく…………んなこと言うなって…」


ぐるんとまた背中からベッドに倒される。
ほんとにラストスパートなんだろう。
ホルマジオに腰を両手でつかまれてしまったのでどれだけ足掻いてもいきすぎた快感から逃れられない。
しかも今まで以上に無遠慮に深く鋭く腰を沈められる。


「ひゃあ、あっ、あ、んああっ!あ、もッ、無理ぃ!好きッあっ、あっ、あ、あっ、あぁっ、ああぁああぁーーーッ!」


「くそッ……あ…ぐっ」


すぐに限界を迎えて、絞るとるように中がきつくしまればホルマジオの形が今までで一番はっきりとわかった。
弛緩していく最中にびくびくと震えて薄い膜ごしに飛沫がはじけた感触にも敏感に反応してしまう。


「ん、はぁ……はぁ…………ホルマジオの…あつ…ぃ……」


ほんとはあつくないかもしれない。
でも体感的にとてもあつい。
途中の発言でもしかしてゴムつけてないんじゃないかと不安だったがちゃんとつけていてくれたようだ。
それくらい分かりそうなものだが、気持ちよすぎてそれどころじゃなかった。


「はぁ……」


「派手にいったけど大丈夫か?無理させちまったか?」


「大丈夫。ホルマジオ、好き。ちゅーして」


「はいはい」


文句を言うことなくキスをしてくれるホルマジオはほんとうにやさしい。
私以上にだるいかもしれないのに嫌な顔ひとつせずに事が終わった後はなんでも言うことを聞いてくれる。


「んっ…………へへへ」


「ご機嫌だな〜ナマエ」


「ご機嫌ついでにぎゅーして」


「いくらでもしてやるよ」


要求通りに安心できる腕の中に体がすっぽりうまる。
汗ばんだホルマジオの胸板にぴたりと耳をつければ未だに早い鼓動の音が聞こえてくる。
そのまま顔を合わせずに続ける。


「その…子どもね、欲しいって言ってたのって嘘?」


ほんとはすごくうれしかった。
ホルマジオってすごい良い男だし、近くのバールでもホルマジオ狙いの人は少なくない。
その人たちではなく私とつきあってくれてることだけでも嬉しかったけど、どこかで遊びなのかもしれないって思ってた。
彼のいたずらとかおふざけの一つになってるのかもしれないって。


「………」


あ。
だまっちゃった。
やっぱ嘘かな。


「…きょうはそういう日だし、そうなのかなって。ごめんね。変なこと聞いて」


「嘘じゃねーよ」


「………え?」


「ナマエさえ良ければ、の話だがなあ〜。仕事があれだし。楽な生活させてやれねーけど、一緒に暮らして、ガキも育てて。そういう生活したいって思ってる」


「………うれしい…ッ」


嘘じゃないって分かったでなくそれ以上の未来のことも考えててくれた。
それだけでも嬉しくて大好きで胸がいっぱいになって涙があふれる。


「しょうがねえなあ〜〜〜、泣くなって」


「好きだから仕方ないよー!」


頭をわしゃわしゃ撫でまわされる。


「じゃあ、仕方ねぇな」


「うん」


そのままどちらともなくキスをして、またベッドになだれこんだのは避けようのない未来だ。




その後冷静になってみるとホルマジオの言葉がプロポーズと同義であると気付いたナマエはもっとロマンチックなのが良かったーーーと愚痴った結果、高級レストランで食事をした後バラの花束と一緒に婚約指輪を手渡されたのでした。








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