服を脱がそうとしてきた花京院くんの手をおさえ、自分で脱ぐと宣言してみると
わかったよってはにかんだ笑顔が返ってきて思わずかわいい!と心の中でうなった。
とりあえず後ろを向いて服を脱ごうと思っても、どうにも緊張してしまう。
背後から聞こえる衣擦れの音から察するに花京院くんも服を脱いでいるらしい。
「か、花京院くん」
「え、な、なに?」
残すは下着のみ、というところで顔だけ回してちらりと見ると上半身を脱いだ花京院くんがベッドに座ってた。
高校生とは思えないしなやかに鍛えられた肉体があらわになっている。
わ、えろい。
自分の体に自信がないので完璧な体を前に怯む。
「あのね」
宣言したのにごめんなさい。
「やっぱり脱がしてください…」
自分で言ったことをできなかった情けなさで顔をそらして下を向いてしまう。
ギシッとベッドが鳴った直後に背中にぴたりと体温がひっつく。
するするとお腹の方に腕が回される。
花京院に後ろから抱きしめられたことはすぐに分かった。
いつもは布越しにほんの少ししか触れられなかった体温の、予想以上にあついことに驚いた。
「うん…わかったよミョウジさん」
「ごめ、ッん」
謝りながら花京院に体を預ける。
首筋をぬるりと這う何かの感触が分からないほどナマエもセイジュンなオンナノコってわけではない。
そのままチュウっと強く吸い上げられる。
いわゆるキスマークがついてしまうのではないかと思っても今は確認しようがない。
ただ後ろからボソリとついた、という花京院くんのつぶやきで確信めいたものになった。
恥ずかしがってる暇を与えてくれないのか、ブラのホックが外される。
戦闘の時に気にならないよう、残念ながら色気もなにもない。
もっと可愛いので臨みたかった…と思っても仕方がない。
「こっち向いて」
上半身に纏うものが何もなくなった。
「…うん」
やっぱり恥ずかしいので片手で胸を隠しながら振り返る。
凝視される胸の気持ちにもなって欲しいと言いたくなるくらい視線を感じる。
この状態を維持するなんて恥ずかしすぎる。
「ごめんッ!」
「え!?」
花京院の謝罪と同時にナマエの体はベッドに沈んでいた。
胸を隠していた腕は纏めてベッドに縫い付けられる。
露わになった胸は容赦なく花京院くんに吸い付かれていた。
「っんん…っふぁ!あッ………花京院く、んッ!?ゃ、ぁあ……舐めちゃ、だめ、ぇ」
胸の飾りを舌先で遊ばれる。
私の胸はさくらんぼじゃないのに、という余計なことも考えられなくなってくる。
じりじりとした痺れが腰のあたりにたまってきて、身をよじるが彼の攻めから逃げることができない。
「ぁ…っんん、………っはぁ、あっ」
「ミョウジさん、きもちいい?」
「あッ、え、これ気持ちいの?かな?私はじめてだから、わかんなくて」
息があたってくすぐったいのと痺れる感覚が混ざりながらもなんとか答える。
「ここら辺ね、すごいじりじりするの、ぞくぞくする、のッ」
へそのまわりをぐるぐると撫でてしどろもどろに説明してると花京院くんの眉間にしわが寄っていることに気づいた。
「……変なのかな?」
「……変じゃないよ」
「ほんと?」
「ああ、本当だよ」
「えっと、じゃあ。うん。気持ちいいよ」
「…言い直さなくていいよ」
ぐずった子どもをなだめるみたいに額にキスされる。
そのまま頬、首とどんどん口づけの位置は下がっていき先ほどと同じ胸のあたりにきた。
「うん………わかったッ、ぁんッ…はぁ……」
と思ったら胸を通りすぎ臍まわり、脇腹。
どんどんキスをおとされる。
その間にも花京院くんの大きな手のひらは一緒におりてくる。
「良い子だね」
「え、そこ汚いよ、やだッ」
残されたショーツをはぎ取ろう彼の手が滑り込む。
ちょっと、もう少しだけ待ってほしい!
全てをさらけ出す心の準備ができてない。
「汚くないって」
「う…恥ずかしいからだめ…」
「触っちゃだめかい?」
「っん!!あァ、え、もうさわってるじゃん!ぁ…やだぁ…」
だめと言っているのに下着の隙間から入口に指を滑らせる花京院くんの腕を止めようと両手で抑える。
「……だめ?」
いくら子犬のような瞳で見つめられてもはずかしいことには代わりない。
羞恥心をどうにかしたくて両手の力がこもる。
「恥ずかしいの、あッ…恥ずかしい、から…んぁ」
花京院くんは私の手など気にしないとでも言うように肉の割れ目に指を滑らせる。
少し聞こえる水みたいな音が耳に入って来たがそんなこと気にしていられない。
思わず腰が引けそうになったがもう片手でその動きを制される。
「ッひぃ、ぁッ…んッ……ふぁッ、あっ、あ……」
見上げると敵と戦ってるときとはまた違うギラギラとした表情の花京院くんに少なからずときめいてしまう。
先ほどから集まっている熱もどうにかしてほしくてどんどん上がっていく息に情けない声が混じる。
上気した頬にとどめとばかりに何度もキスを降らしてくる。
「ねぇ、やっぱりだめ?」
耳元でかすれた声でささやかれる。
「ぁ…………いい、よ」
鼓膜を揺らした彼の声に頷く他にない。
瞬く間に自分の身を隠すものが何もなくなってしまった。
「あんまり見ないでよ…」
「あ、ごめんね。嬉しくって」
「ッ…もう……」
二人で笑いながらキスを繰り返すこの空間の甘さとぬるさにナマエはとても満たされた気持ちになる。
「花京院くん、すき」
「ぼくも」
「しあわせ」
「うん、ぼくも」
唇が触れ合うあたたかさも、手から伝わる愛情も、髪が肌をくすぐるのも、全部全部しあわせ!
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