ナマエのこれまでの生い立ちは一般的な日本人とは大きくかけ離れていた。
彼女は今イタリアにいる。
国際化の進みつつある現在、海外で活躍する日本人は少なくないだろう。
では、彼らとナマエで何が違うか。
ナマエはパッショーネというイタリアのギャングに属していた。
いや、正式にはギャングの一員に囲われていたのだ。
マッドサイエンティストもびっくりなゲスい元医者と、彼のお気に入りである元被験者に。
だが、そんな二人はボスがどこかへやってしまった。
残ったナマエはそこらへんに捨てられてもおかしくなかったが幸運にも他のチームに身柄をうつされることになった。
暗殺チーム。
同じパッショーネの人間にも近づきたくないと噂される暗殺チームにこれから異動することになる。
幹部に異動を言い渡されたナマエは本格的にパッショーネの一員となってしまったことを実感していた。
今までふわふわとした立ち位置だったが、もう確実に普通の生活に戻れない。

(チョコ先生どこいったんだろう)

待ち合わせ場所に徒歩で向かうナマエ。

(セッコも連れていっちゃったのかな)

急にいなくなってしまった二人を思い浮かべておセンチな気分になる。
でもくよくよしても仕方がない。
人間性として底辺に位置しているチョコ先生の下で今まで元気に暮らせてたんだ。
暗殺チームでもがんばって暮らそう!
そう自分を励まして歩くとあっという間に目的地が見えた。
迎えらしき人物がいることも同時に気づく。
銀のぼんぼんつきの黒い頭巾を被り、鍛え上げられた肉体を惜しげもなくみせつけるような露出度の高い上半身とモノトーンのボーダーのズボンが人目を引く。


「こ、こんにちは!」


「ああ。どうも。ナマエだな?」


とんでもない恰好に怖気そうになるナマエが勇気を振り絞って挨拶をしてみると、ふざけた格好とは裏腹に落ち着いた声がかえってくる。


「そうです」


「俺はリゾット・ネエロ。暗殺チームのリーダーだ」


「リゾットさん、リゾットさん……よし、よろしくお願いします!」


覚えるように何度かリゾットの名を呼び一礼するナマエ。
それを見てリゾットはチョコラータから来たと聞いて内心うんざりしてたが案外まともな奴が来たと驚いていた。


「こちらこそ。車で来ている。ついて来い」








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