DIOを倒すために各地を巡る旅にも段々慣れてきた。
足手まといにならないことを第一の目標に掲げたナマエは目標達成しつつ、微力ながらも一行の手助けをしていた。
アヴドゥルさんは紳士だし、ジョセフさんはとってもお茶目、ポルナレフはちょっとうるさいけど憎めない人。
承太郎は同じ年とは思えないほど落ち着いている。
その冷静さと度胸で私と花京院くんは肉の芽から解放された。
彼は感謝してもしきれない相手だ。
花京院くんは和む。
DIOの元にいるときも少し話すことがあったが、今のほうが柔らかい表情で話してくれる。
こちらまでふわふわした気分になってくるのだ。
今晩はそんな和み系の花京院くんと同室。


「花京院くんと一夜すごすならゲーム一緒にやりたかったな」


荷物も粗方片付いて、ジョセフさんが買ってきてくれたジュースを開けて飲み始めるナマエ。
炭酸ジュースと思われるそれとても甘い。
疲れた体にはもってこいの甘さ。


「持ってくるにはすこし大きい荷物になるからね、残念」


荷物の整理をして軽く傷の手当てをし始める花京院。
眉を下げながら答えて子犬のようだ。


「うん、残念」


「日本に帰ったらやる?」


「うん、やるやるー!」


前に手当てしようとしたら真っ赤になって遠慮されてから、よっぽどの怪我じゃない限り手当てしないようにしている。


「花京院くんってゲーム好きだよね」


「そうだね」


「えっちなのとかやるの?」


「え!?」


「あ!顔あかーい。図星なんだ!花京院くんえっちー!」


「いや、え、そうじゃなくて」


普段そのような下の話をしないナマエに驚く花京院は君の方が真っ赤なんじゃないのという言葉を飲み込んで一つの可能性を見つける。
花京院がナマエの飲んでいたジュースを奪って一口のむ。
アルコールだった。
度数は弱いが確かに酒であるそれをナマエは飲んでいた。
つまりは酔っ払ってしまったのだ。
ふだん酒を飲まないナマエはアルコールの香りをそういう味のジュースなのだと信じ飲みすすめていた。
断りきれない性格の花京院は親戚の集りで勧められたアルコールを体験していたので気がついた。
間接チューだと騒ぐナマエを横目にどうしようかと花京院は考える。
部屋割りを組み直してもらった方が良いのではないか、と。
今からでもナマエが酔ってしまったと話せば部屋を変えるくらいはしてもらえるかもしれない。
花京院だって年頃の男子だ。
今まで出会った中でスタンド使いで優しく気配りをかかさない異性はナマエが始めてだった。
花京院はナマエのことを好いている。
好きな相手がおぼつかない口調で少し頬を赤らめているのだ。
我慢しろというのは酷であろう。


「間接チューもうしないの?」


「う、うん」


立ち上がってそれじゃあジョースターさんのところに行こうか、とやんわり誘導しようとした花京院の首にベッドの上に立ったナマエの腕が回
る。


「じゃあチューしよ?」


普段の身長差はベッドのおかげで埋まり、至近距離でナマエと花京院は見つめあうことになった。


「えっ!?ちょっ、と、んぐ」


有無を言わせずナマエは自分の唇を花京院の唇に重ねる。
ナマエはいつもより開放的な気分を味わっている。
穏やかに笑ったり、容赦しない強さがあり、仲間思いの彼のことを慕っていた。
お互いに両思いだが、厳しい旅路の中ではそれを伝えることはできない。
なによりナマエには告白する勇気がなかった。
初めて味わう不思議な感覚は彼女を大胆にさせていた。
何度もキスをして幸せそうなナマエを拒むことができない花京院。
これは夢なんじゃないかと疑わずにはいられない。
このまま手を伸ばして何もかもを奪いたい気持ちはある。
それと同時に流れに身を任せて素面になった彼女がどう思うか不安もある。
どうすればいいのかわからない花京院はされるがままだった。


「花京院くん、つめたい」


つめたいのは態度のことではなく体温のことだ。
ナマエは上がった体温をわけるようにキスをつづける。


「っふ・・・・はぁ、っ。かきょ、いんっ、くん。すきっ、んっ」


厚い唇に何度も吸い付くナマエ。
触発されたようにやられっぱなしだった花京院もナマエに舌をねじこむ。
探るように歯列をなぞられ身をよじろうとするナマエ。
しかし、抑え込むように抱きしめられ身動きがあまりとれない。


「ミョウジさんはぼくのこと好きなの?」


耳のそばで尋ねられてナマエは縦に何回も首をふる。


「すきっ。好きだよ。ごめんね、迷惑だよね。今だいじな時期なのに。ごめんね」


「謝らないで」


抱きしめられている力がこめられた。


「ぼくもミョウジさんが好きだよ」


花京院は驚きのあまり腰がぬけそうになったナマエが崩れ落ちるすんでのところで抱きかかえる。
そのままそっとベッドに座らせ、できるだけ自然な流れで押し倒した。


「夢みたい…」


「ぼくもそう思ってる」


「ジョセフさんたちどう思うかな」


「終わってから言う?」


僕たちつきあってますって、そう言ってふわりと笑う花京院くんはやっぱりかっこいい。
それでいてちょっといやらしい。
それにしても夢みたいだ。
でも夢じゃ嫌だ。
幸せだ。幸せだ。
それしか考えられなかった。
先ほどまで感じていたやけに高いテンションは落ち着いて、今度は別の意味でドキドキしている。
私いま押し倒されてる!?
しかも服を脱がされそう。


「花京院くん」


「なに?」


「すき」


「うん、僕も」


少し怖いのも緊張してるのも覆いかくしてしまうくらい花京院くんへの気持ちで溢れそうだ。
心に充足感を覚えながらベッドに身を委ねて目と目があえば意識せずとも笑顔になった。








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