「ナマエ、お前はこれが見えるのか」


そう言うとDIOはザ・ワールドを軽く左右に動かした。
ナマエはそれを目で追いながら答える。


「はい見えます」


何故か敬語になってしまう自分に驚く。
DIOはスタンドを消してゆっくりとこちらに寄ってきた。
そういえば彼は下に何も穿いてないんじゃないのかな。
そんな状態で近寄られたらたまったもんじゃない。
思わず後ろに引いてしまう。


「恐怖しているのか」


無理もない、と余裕の表情のDIO。
まあ良い、と繋げたあとこれ以上距離を狭めようとはしてこなかった。
怖いわけではなく、気を許してない異性の全裸が来るのは生理的に無理だ。
好きなキャラとは言え、今は目の前にいるDIOは立体なのだ。
読んできた漫画でのDIOとは少し違うかもしれない。


「ナマエは同じような力があるのか?」


「ちょっとよくわかりませんね…」


言われて気づく。
スタンドは特定の場合を除いてスタンド能力を保持しているものにしか見えない。
DIOのスタンド、ザ・ワールドはスタンド能力なしでは目視できないスタンドだ。
なら自分は今スタンド能力を持っていることになる。
しかしナマエは自分のスタンドなんて思い当たる節がない。
あいまいな答えでしか返すことができなかった。


「でもあると思います」


「…まだ能力の扱い方に慣れていないのか」


「そうじゃなくて、自由に出したりひっこめたりできないんです」


「ほう」


こんな答えでも納得してくれたのだろうか


「次だ」


納得してくれたらしい。
自分でもスタンドのことはよくわからなかったので、ひきの良さに安心した。
さぁ、次の質問はなんだろう


「どこから来た?」


私からしてみればどこに行ってしまったんだろうと頭を抱えたくなる。
こちらも上手く説明できそうにない。


「うっ……覚えてません」


「覚えていない?」


とっさに出た言い訳に我ながら良い考えだと感じた。
そうだ、記憶喪失という設定にしてしまおう!
説明しにくいこと、どこから来たとかどうやってここに来たとかそういうのは記憶喪失ということにしてしまおう。


「…部屋で寝ていたんです。起きたときにはここでした」


嘘は言っていないからきっと大丈夫だ。
面白そうという感情を隠さずに表情を変えるDIO。


「面白い。ナマエ、お前はこのDIOの仲間になれ」


そういえばDIOってスタンド使い集めてるんだよなとぼんやり思い出す。
今はまだ承太郎たちが旅をする前だろうか。
なんだか漫画に入り込んでしまったようでだんだん楽しくなってくる。


「記憶がないのなら居場所もないだろう。それに私は同じような力を持つ者を集めている。どうだ」


拒否する理由がないだろうとでも言いたげなDIOはこちらに近づく。
下半身を露出したまま。


「ッ!はい、ぜひお願いします!お世話になります!!」


いそいで了承するとDIOの動きがとまる。
私が後ずさる理由を最初から知っていたとしか思えない。
尋問に構えてたナマエの緊張が一気にほどける。

楽しい夢だ。
このままDIOの味方になって承太郎たちと戦うのだろうか。
そもそもそこまで寝続けているのかわかない。
とにかく楽しめばいい。
現実なんて夢を見ている間だけでも忘れていよう。
自然と笑顔になってきたナマエをじっと見つめるDIO。


「あの、なんでしょうか?」


「これから他の者にお前を紹介しようと思ってな」


「そうですか」


そう言えば館には少なくともヴァニラとテレンスの二人はいるはずだ。
他にも館にいるのだろうか。
DIOはするりとベッドから降りると軽く衣服をまとった。
とは言っても肌はかなり露出している。
お腹は冷えないのだろうかといらぬ心配をしてしまう。


「ついて来い」


こちらを振り向かずすたすたと扉に向けて歩いていくDIOを急いで追いかける。
歩幅が全然違う。
っていうかすごく背が高い!!!
私の身長は低いわけではないが、これは少し萎縮しそうな背の高さだ。
少し小走りしつつ後を追いかけていくと広間のような場所についた


「アイス、ダービー」


しんとした室内にDIOの声がよく響く。
遠くの方から靴音が聞こえる。
やはり二人が館にいるらしい。
音の方に体を向けていると二人そろってこちらにやって来る様子が見える。


「!・・・ただいま参りました」


ヴァニラは私を確認するなり警戒をしたのが素人目でもわかる。
テレンスはというとあまり態度に現れない。


「御用でしょうか、DIO様」


とても執事らしく丁寧な対応している。


「この女はナマエ、私の客人だ。身の回りの世話をしてやれ」


「え」


今この人なんて言ったの。
仲間と客人って少し違うんじゃないの?
ほら、二人ともちょっと微妙な表情をしている。
そもそもそんな話聞いてない。
抗議の意味も兼ねてDIOを見上げると一瞥をしただけでこちらのことは気に留めないようだ。
いやいや、気に留めてくださいよ。
言いたいことが多すぎてどれから言えばいいのか分からない。


「「かしこまりました」」


主人の言うことは絶対である。
それを象徴するように二人はおとなしく返事をし、もときた道を戻っていった。
弁明する暇もなく二人の姿は見えなくなってしまった。


「部屋に戻るぞ」


「待って!」


そう言って帰ろうとするDIOを呼びとめる。


「どういうことなの?」


「戻ってから説明する」


こういわれてしまってはどうにもできない。
急ぎの用ではないし、きちんと説明してくれるのなら引き下がるしかないのだろう。


「……わかりました」


漫画のDIOはすきだけど、このDIOは少し苦手かもしれない。
ペースを握られてしまうことを実感しつつDIOの後をついて先ほどまでいた大きなベッドのある部屋に戻った。


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