毛利小五郎成り代わり2

「江戸川コナンです!よろしくね、小五郎のおじさん!」

 うわー来たよー。いや、うん、来るとは思ってたけど。
 目の前の、いかにも子どもらしいかわいらしい笑顔を浮かべる男の子。江戸川コナン。その中身が工藤新一だと思うと何だか涙ぐましくすら思える。

「ねえ、いいでしょお父さん。この子ウチで預かっても」

 いいんだけど。いや、いいんだけどさ。じゃないと物語が始まらないんだし。けどそんな犬猫拾ってきたみたいなノリで子ども連れてこられて、原作の小五郎はよくOK出したよな。

「あー…ああ、お前がしっかり面倒見るんだぞ」
「なーに言ってんの、お父さんの面倒だって私が見てるようなものじゃない。今更一人増えたって変わんないわよ」

 ……娘は強いな。うん。

「でもお布団どこに敷こうかしら…お父さんのベッドの横空いてたわよね?そこでいい?」
「えっ あー、ああ、好きにしろ」

 へ、へー、そうなんだ、コナンって小五郎と同じ部屋で寝起きしてたんだ。知らなかった。うわーこりゃ気が抜けない生活の始まりだな。ってもどうせ夢なんだが。

「じゃあ私用意しておくから、とりあえずお風呂入っちゃってよ。お父さんコナン君にいろいろ説明してあげて?」
「えっ あー、ああ、分かった」

 風呂も一緒に入んのかよ!と思ったが、まあ、別に男同士だし片方は子ども(中身はともかく)だし問題ないのか。だがコナンは災難だな。好きな女の子のオヤジと高校生にもなって一緒に風呂に入るなんて。しかも銭湯ならまだしも家庭用の小さい風呂に。

「よしコナン行くぞー」
「えっ、ぼ、ボクひとりで入れるよ!」
「蘭の命令だ、諦めろ」
「こ、小五郎のおっちゃん…?」

(蘭の親父さんってこんな人だっけか…?)

 何て思われているのはつゆ知らず。小五郎はコナンを小脇に抱えて風呂へ向かった。
 にしても流石マンガ。いやむしろ流石夢の中。子どものサイズが小さい。いくら小学一年生でも普通こんな小さくねーだろ。確かにこれなら片手で持ち上げられるわ。

「頭ちゃんと洗えよー」
「だからひとりで洗えるってば!」
「いーや、耳の後ろなんか洗い残しが多いからな」

 とりあえず折角の夢を堪能しようと思って、コナンの髪をわしゃわしゃと泡立てて洗った。これがなかなか楽しい。コナンにとっては嫌がらせ以外の何物でもないだろうが。

「ほれ、ばんざーい」
「……っっ」

 中身が高校生だと思うと楽しすぎる。しかし顔を真っ赤にしたコナンに流石に虐めすぎたかと反省した。大人げなかったな、うん。
 そんな感じで一日目は過ぎていった。
 ところでいつ目が覚めるんですかね、これ。



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