金色に揺れる向日葵



いつも目で追っていた。

「ねえ、見た?」
「先輩でしょ?」「そうそう。すっごい金髪。」
「でも似合ってるよね〜」

クラスの女子が話している会話を聞いて、読んでいた本に意識を戻す。
「あ!安田先輩だ!」
その声に、また意識が本から離れそっと視線をあげ見回すと、サラサラ揺れる金色が廊下に見えた。
じっと、その姿を追っていると教室の前を通り過ぎ見えなくなったと思ったら、再び教室のドアからひょこっと顔を出して、中にいた女子がきゃあきゃあ言っている。
先輩は、キョロキョロしてピタッと視線を止めると、ニヤっと笑ってまた通り過ぎた。
「え?今笑ったよね?誰か知り合い?」
「さあ」
クラスメイトの会話を聞いた後、今度こそ意識を完全に本へと戻した。


「なあ、今日はなんの本読んでたん?」
後ろから、ドライヤーで風を送る人物に「ロミオとジュリエット」と返せば、ぷっと笑われる。
「ほんまに?名前そんな、ロマンチックなやつ好きやった?」
「結ばれない恋に切なくなるのが女子だよ」
ドライヤーのスイッチを切って、髪を櫛でといて「名前も女の子やなあ」と優しく抱きしめてくる。
「人気者で素行不良の安田先輩と影の薄い優等生が結ばれるわけないってみんな思ってるよ」
そう笑いながら、お腹に回った手を握る。
「優等生なんは、間違いやろ」
やって、こんな夜更けに彼氏の家におんねんで、と部屋着にしてるTシャツの裾を前に廻った章大が捲ってくる。

「…夏になると青少年は非行に走りやすいんだよ」
そう言えばくすくす笑いながら、下着だけになった胸元に顔を埋める章大の金色の髪を撫でる。


「名前ちゃん、とりあえずキスしてええかな?」
それに答えるように、章大の唇に自分の唇を重ねた。


この瞬間から、世界は2人だけ。



20160711

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第二弾は、ヤスくん。
ただ、不良ちっくなヤスくんが書きたかった、けど、…あれ?


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