7.ハッピーエンドはつづいていく


ずっと、好きだった人と、キスをした。


確かに、確かに彼女も先ほどの行為を受け入れてくれた。はずなのに、部屋に残された俺は力が抜けてソファに倒れこむように飛び込んだ。
追いかけれなかった。ひとりにして、とはっきりと言われたら怯んでしまった自分がいた。
ぐるぐると頭の中で回る、彼女と俺の今までのやりとり。そうして、どのくらい経ったのか部屋のインターフォンが鳴って慌てて飛び起き、ドアのスコープを除く。そこには、じっと扉を見つめ開くのを待つ彼女がいた。
「名前ちゃん…」
もう、駆け引きもなにも出来そうにない俺はドアをすぐ開けて、彼女の手を取り引きこんだ。
向かい合って立ったまま、名前ちゃんは「1人にしてごめんね」と口を開いた。
「それは、ええねん。寂しかったけど…それより名前ちゃんの気持ちを聞かせて。」
そう言えば、大きく深呼吸をした彼女は手を引き先ほど、キスをした椅子に俺を座らせ、今度は彼女が両膝をついて目の前にしゃがんだ。
「…さっきは、ほんまにごめん。びっくりして、なんか飛び出してもうた。」
そう言い、俺の両手をしっかり握ってくれる。なんか、これだけで幸せな気分になる俺は大概アホなんかもしれん。
「本当は、絶対に言うつもりやなかってん…。でも、素直になることにする」
見上げてくる名前ちゃんの瞳は、無表情な顔とは裏腹にいつも正直だった。俺は、それがわかるくらい見てきたんだ。
「私も、ずっと大倉が好き」
シンプルな言葉が、鼓膜を通り神経を使い俺の脳に伝わった。気づけば、俺は椅子から退き名前ちゃんを力一杯抱きしめていた。
「…これ、夢やないよな?」彼女の華奢な肩に額を預けたのは二度目だ。
「…夢やないよ。なんなら、あと12時間経てばライブしてる」
せっかくのムードに、現実を押し付ける名前ちゃんに思わず笑いがでる。
「ずっと好きでいてくれてありがとう」
直接、耳に聞こえた言葉に泣きそうになる。
「名前ちゃん、大事にする。ずっと、ずっと」
馬鹿みたいに、そう何度も繰り返し言う俺の頭を優しく撫でながら名前ちゃんは、私も大事にする。と抱きしめてくれた。


一体、いつから彼女も好きだったのか、聞きたいことはたくさんあるけど。
今は、この夢のような出来事を現実だとかみしめるべく、俺はまた、彼女にキスをした。


20160706




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