17.If you want to be happy, be.



きっと、あの始まりの夜が僕の全てになった。


「きちんと説明しなさい」
マネージャーに連れられ、事務所の会議室に行くかと思えば即一番上の役員のとこまで来ていた。
目の前の彼女は、記事を開いたまま俺に見せつけるようにそれを机の上に置いた。
「記事の通りです。俺は、真剣に付き合ってます」
そう目を見てはっきりと言えば、横からマネージャーに「大倉いい加減にしろ」と言われる。
「別の記事が来週出る予定だったはずでしょ。…だから彼女にも辞めてもらった。」
そう言いながら記事に写った目元の隠れた名前ちゃんを指差した。
「このタイミングで、こんな風に撮られるなんておかしいと思わない?」そう伺うように俺を見てきたその人はマネージャーの方も見て「なにも知らなかったの?」と聞いた。
謝るマネージャーに「とりあえず、否定文書をマスコミ各所に「嫌です」
彼女の言葉を遮るように言った俺に「大倉!」と怒鳴るマネージャーとただ俺を見て眉間に皺を寄せるその人は「あなたに意見は聞いてないの」と言い放つ。
「俺は、彼女と結婚前提で付き合ってます。否定しません」
さすがに、結婚の言葉が出ると思わなかったのか二人は驚き「本気で言ってるのか?」とマネージャーが俺の腕を掴んだ。
「やないと、ここまで来ません。俺が来たのは弁解するためやないです。認めてもらうためです」
そう言うと、するっとマネージャーの手が離れ「…ツアーまで時間がない。今、否定しておかないと今後のグループにだって影響してくる。」
「わかっとるよ。でも、認めて欲しいねん。俺が、真剣やって。お願いします」
ここに来て初めて頭を下げた俺に、なにも二人は言わなかった。
そうこうして、リハの時間が近づきとりあえず報道についての発表は保留にしてもらった。

それから、リハでみんなと会い記事について話したが、結婚については他のスタッフもいて言えないまま、またリハの後事務所に行くことになった。
すばるくんがヤスを連れて名前ちゃんに会いに行くと言ってくれて安心した。
ちゃんと、結果が出てから連絡しようと思っていたからきっと彼女は不安がっているだろう。
リハを終えて事務所へ向かおうと駐車場に行く途中で後ろから呼び止められた。
「横山くん…」
「事務所行くんやろ?」
それに頷くと「なら、俺も行くわ」と歩き始めた横山くんを見る。
「…え?横山くんもなんかしたん?」そう言えば「アホか!」と言われ首をかしげる。
「お前、認めてもらいたいんやろ。なら、メンバーの誰かと一緒の方が説得できるかもしらんやん」そう言ってまた歩き出した横山くんの言葉の意味を理解して「待って!そんなん、俺の問題なんに「あのな〜。」と呆れたようにため息をついて「少なくとも、俺らはお前の味方やねんで?向こうは、何人もおんねんやろ?こっちやって、人数増えてもフェアやろ」と全然的を得ているのかわからないことを言う。
「どうせ、グループのこと言われてんねやろ。そんなん、大丈夫やってお前以外のメンバーが言うた方が上だって少しはわかるんちゃうん」と俺の背中を叩いてきた。
「…横山くん。」
そう見つめれば、照れた最年長は「もお、はよ行くで!」と先を歩き始めた。
その背中は頼もしく見えて、なんだか泣きそうになった。




「横山も来たの?」
部屋に入って俺と横山くんを見て呆れた声を出し「2人で来たってことは、気持ちは変わってないわけね」と言う彼女に「そんだけ真剣なんす。俺らから見ても大倉は、彼女を大事に思ってます」
そう言った横山くんを見てさっき締めた涙腺が緩みそうになる。
「だから?この記事を認めれば関ジャニとしてのグループの利益も大倉一人が会社に出す利益も無くなるかもしれないのよ。」それをどう返すわけ?と続ける。
「俺らは、そんなことで崩れません」
きっぱりと言う横山くんは「悲しむファンはおるやろうけど…。でも、その分こいつやって真剣に仕事していくし応援してくれる人らに精一杯返していくと思います。ていうか、返していかなあかん。」
「大倉は、結婚前提で付き合ってると言ったの。それを認めるのね?」
横山くんはその言葉に少し驚いて俺を見たが、すぐ表情を戻し「はい。まあ、言うても何もかもこいつの言う通りのは出来んとは思います。やから、せめて大倉の言葉でこの記事のこと認めさせてやってください」そう頭を下げてくれた横山くんに続いて「お願いします」と頭を下げた。
ダメだ、情けないけど涙が止まらない。

下げたままの頭上でため息が聞こえて「…頭を上げなさい」と言われ涙を拭いながら上体を起こす。
「おま、え。泣くなや」と笑いながら俺を見た横山くんに「やって…」と言い合ってたら「明日、マスコミにコメント出すから。今から文書考えなさい」
そう言いマネージャーにも後のことはしっかり管理しなさい、と言うその人に「じゃあ…」と横山くんが言えば
「横山が頼んだから、とかじゃないわよ。あと4日でツアーが始まるのにいつまでもこんなこと話してられない。しっかりファンにも認めてもらえるようにツアーに臨みなさい。」
ただし、結婚の話はまた別よ。と付け加え会議があるからと、その部屋を後にした。


「横山くん、ありがとう。ほんまに」
文書を考えてマネージャーの車に乗って動き始めた車の中、前の席に座る横山くんの背中に言えば「…俺だけやないで。たまたま俺が空いてたから一緒に行ったけど。すばるとヤス名前に会いに行ってんねやろ?ヒナや丸やどっくんやって、お前がおらなあかんって思うてんねん。そのためにしただけやで」と返ってきた。
「…うん。ほんま感謝しきれん」
「さっきも言われてたけど、ツアーでしっかりお前の仕事に対しての真剣さとか伝えなやで。ファンの子らに」と横山くんは振り返って俺の頭をポンと一回叩いた。
それは、どんな言葉よりも重みのある手だった。







マスコミ及び関係者各位様

この度、報道にありました内容につきましてご報告をさせて頂きます。
私関ジャニ∞の大倉忠義は、記事にありました通り真剣に交際させて頂いております。
お相手の方は、一般人の方ですので名前などは伏せさせて頂きますが僕にとってかけがえのない存在です。
この度の件で、嫌な思いをさせてしまった方々もいるかもしれません。
しかし、これからも日々精進し応援してくださっている方々にしっかりと恩を返すつもりで、努力してまいりたいと思います。
どうか、見守っていただけますようお願いいたします。


                            関ジャニ∞  大倉忠義






20160801


[ 17/21 ]



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -