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3年ぶりだね…。
3年しか経ってへんの…?
そんな会話を肌を合わせながら話す私たちはひどく滑稽で情けなくて全然大人じゃなかった。


「今、なに考えとるか言うてええ?」
背中に体温を感じながら、耳元で響く声に身じろぎして「なに?」と返す。
「すばるは、相変わらず絶好調「やめて」
ふざけたことを言うのを無理やり止めると「嘘やって。…後悔してんねやろ」と聞こえてくる。
それになにも返せずいると、うなじにすばるの唇が当たるのを感じた。
「ええやん。俺に流されたことにすれば。久しぶりに元彼と会ってヤるやつなんかいっぱいおるやろ」
投げやりにも聞こえる言い方に、体ごとすばるの方を向く。
「…すばるは?元カノに久々に会ったからエッチしようって思ったの?」
そう聞くと私の髪を梳いていた手が止まり、「…正直、こないだ久々会って気持ちが盛り上がったのはある。」また、優しく髪を梳いてくるすばるをじっと見つめる。
「やけど…ええ加減な気持ちで抱いたわけちゃう、よ。そんな、もうガツガツするほど若くないし」と笑うすばるにつられて笑うと、唇にキスが落ちてくる。

「もう一回始めてみいひん?」



「…先輩!苗字先輩!」
「えっ?」
呼ばれた声に応えれば、目の前で後輩が心配そうにこちらを見ていた。
「どうしたんですか?今日ずっと上の空ですね」らしくないです、と後輩は笑った。久々に来たパスタの美味しいカフェでランチを取っていたら一緒に来た後輩に「パスタ…全然進んでないですし」と皿を指される。
「ごめんごめん」なんでもないの、と続ければ「…もしかして男関係ですか?」と言われ面白いように噎せてしまった。
「ちょ、分かりやすすぎです!」と慌ててお水を渡してくれる。「先輩、彼氏いましたっけ?」と伺う彼女に「彼氏は、いないよ」と返す。
「え!じゃあ、好きな人ですか?」と嬉々とした表情に、20代と30代でこうも違うのか、と苦笑いする。きっと、同期ならこんなふうに聞いてこない。
「ねえ、元カレと復縁ってあり?」
なんでこんなこと他人に聞いたのか謎だけど、もう一杯一杯だったんだろう。
あの夜から、ずっとすばるが頭から離れなかった。
「元カレですか?う〜ん…別れかたとか相手にもよると思うんですけど…」と彼女は食べ終わったお皿をテーブルの端にやりコーヒーカップを手に取る。
「どっちかで言うなら、アリですね」
「え、なんで?」
「だって、一度は好きだった人ですよ?よっぽどなことじゃない限り、また好きになるってあり得ますよ」と笑う。
それに、「そうか。そうだよね」と返すと、「どんな別れ方だったんですか?」と聞かれる。
その言葉に、思い返しながら「う〜ん。時間とか生活が合わなくなって」と当たり障りないことを答える。
「なるほど。でも、その時から状況が変わってるなら復縁もあり得るんじゃないですか?」と言われ、苦笑いするしか出来なかった。


「もう、無理だよ。このままじゃ、すばるも私もダメになる」
「俺は、関ジャニが大事やねん」
「わかってるよ。…別れよう、すばる」


あの頃と状況は変わってるんだろうか。
カフェを出て、仕事用と一応私用の携帯も確認すれば、こないだ教えた私用の携帯にすばるから着信が残っていた。
あの日以来、何かを取り戻すように時間が合えば会っている私たちはこのままどうなるんだろう。
後輩に電話するから、と先に戻るよう言い履歴の一番上をタップした。

20160920





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