ボーリング場にて。




「うっし、ほれ、悠里の番だぜ」


そう言って、清春は悠里を促した。
悠里はよし、と気合を入れてボールを構える。


「えいっ!」


掛け声とは裏腹に、静かにゆっくりと転がっていくボールに、清春は大爆笑。


「ヤべェ腹いてェ。ンでそんな早く投げてゆっくりしかいかねェンだよ!」
「そ、そんなこと言われても」


悠里が反論しようとしたとき、ゆっくりと転がったボールは、10本のピン全てを倒すという偉業を成し遂げた。


「げェ!」
「やった!!!」


大喜びする悠里に、絶対ェ負けらンねェ、という言葉を残して、清春はボールを構えた。
鋭い目つき。そして一拍したのち投げられたボールは、大きくカーブして、見事ストライクを決めた。


「すごい!すごいね清春君!」


手放しで喜ぶ悠里の姿に、清春は得意気に微笑む。


「当たり前だッての」


言葉と共に素早く唇を寄せた。
すんでのところで悠里は己の唇を掌で覆う。


「なーかなか勘が鋭くなってきたなァ」


どこか楽しそうにそう言って、清春は悠里と距離を取る。


「オマエの番だゼェ」


やけにすんなり引いた清春にどこか不審に思いながらも、悠里は続けてボールを投げたのだった。
ちなみに、このゲームは清春の圧勝。
1レーン目にストライクを決めた悠里だが、あとはガーターのオンパレードであった……。






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