( ※このお話はVitaminXと別の作品の、コラボ要素があります )
――キーンコーンカーンコーン
大きな音で本鈴が鳴り響くのを聞いて慌てた様子の6人がなにか揉めながら走ってくる。
「Shit!これはホンレイだろう!」
「…そう、みたい。急がないと…」
「んもう!キヨがイタズラばっかりしてるから遅れたんだよ!」
「それなら俺サマのイタズラにいちいち引っ掛かってたナナのせいダロー!」
「何だと仙道貴様っ!殺すぞ!」
「まーまー、2人とも落ち着けって。はやいとこ職員室行かねぇと。」
かつてB6と呼ばれていた彼らは、卒業から5年経った今、まさに自分たちの母校からの依頼によって教師として帰ってきたのだ。
「つーか、もうHRはじまってンじゃね?」
「そうだな。じゃあとりあえず先にクラスへ行って、職員室はあとで行けばいいだろ。」
「Nice ideaだ、一。」
「でもでもどこのクラスなの?」
「「………」」
「…HRが始まってるなら…この教室にいる、先生に…聞けばいい。」
「Nice ideaだ瑞希!さぁ入るぞ!」
「お、おい真壁、ノックくらい――」
――ガラッ
「Good morning!」
ドアを開けて挨拶をしながら入る翼たち6人に教室は、一瞬の沈黙を置いて一気にざわめく。
『だっ誰だよアンタら!』
『直ちゃんどこ行ったんだ?』
ざわついている生徒たちは無視でキョロキョロと先生らしい人物を探すも教室内は生徒だけ。
「ンダ?担任いねぇのかヨ」
清春がそう呟いたと同時に、生徒側から真っ直ぐのびる手。
「お?なんだ質問か?じゃあお前!」
ニコニコと指名する一に、真剣な顔をして立ち上がる生徒。
教室にざわめきはなくなった。
「俺、東月錫也です。あなた方はもしかして教育実習生の先生たちですか?」
「お、おい錫也、あんな変な格好してんのに先生はねぇだろ!」
傍に座っていた銀髪の生徒が苦笑いでそう言った言葉に眉をあげたのはこの男。
「変な格好?この俺の趣味がわからんとはまだまだガキだな。」
「真壁落ち着け。そのガキに反応すればお前もガキだぞ。」
フォローをしたはずの瞬の言葉は逆に生徒を刺激したようで。
「ハァ?誰がガキだ?いきなり入ってきて何なんだよテメーらは!」
「ちょ、哉太落ち着きなよ。」
「ンだよ羊、止めんな!」
すると今度は赤髪の生徒が止めに入る。
「あーストップストップ!俺らが悪かった。ほら翼も謝れって。」
見兼ねた一がそう言うも、翼は聞く耳を持たずさらに不機嫌な様子だ。
「もーツバサったら!ぽぺらごめんね!東月くんだっけ?」
「あ、はい。」
「オマエ担任から俺サマたちのこと聞いてねぇンかよ?」
「…陽日先生は今度教育実習生が来ると言ってましたが、今日とは聞いてませんでした。」
錫也の答えにクラスメイトたちも、うなずく。
「…じゃあ……この教室でビンゴ」
「だな!そうと決まれば早速挨拶だ!」
瑞希の言葉で6人は、自分たちの受け持つクラスがここだと確信した。
でもすぐに異変に気付いたのは悟郎で。
「あれぇ?ねぇこのクラスさ、男の子ばっかだね。」
「言われてみれば…そうだな。」
果たして、いつの間にか聖帝は男子校にでもなったのか?
そんな考えが過った6人の目に入ったのは一人の女子生徒。
「女は1人だけなのか?」
B6たちが一斉にそっちを凝視し、その女子生徒はビシッと背筋を伸ばして緊張しているようだ。
その瞬間、彼女の目の前に立ちはだかる赤い髪。
「先生方、彼女は僕のものです。彼女にあまり近づかないように。」
キッと睨み付けるような視線から、6人は目を外せなかった。
( あぁ、あの時の自分もあんな風に若かったんだろうな )
「オイ羊!コイツがいつお前のもんになったんだ!ってコラくっつくな!」
「別に哉太のものでもないでしょ。僕は彼女に触れてたいの。」
2人の間でオロオロとする彼女は、髪の色からか、なぜか無性にあの人を思い起こさせる。
「ほら、羊も哉太もやめろ。コイツが困ってるだろ?」
そこへ錫也が2人を止めに入る。
その一連の様子を見ていた6人のうちの悟郎がポツリと呟いた。
「あの子、逆ハーだね。あのときのセンセみたい。」
まるで独り言のように小さかったその言葉は、ちゃんと他の5人にも聞こえていて、それぞれの心がドクンと波打った。
そのとき、こっちをチラッとみた女子生徒は微笑んで会釈をした。
その様子があまりにも彼女と重なって6人は6人とも同じ事を思っていた。
( あの人に、会いたい )
そんな感傷的になっている6人が、来るべき学校を間違えたことに気付くのはもう少しあとのお話。
青い春をもう一度。
『Soft touch』のオオユキ小雪さまに捧げます。VitaminXとStarry☆skyの、コラボ小説です。
案の定グダグダで残念なものとなりました(;_;)
小雪さん、素敵なリク活かせれなくて申し訳ないです…
← | →.
.