今日もおもしれーくらいにワナにひっかかって怒るブチャイクちゃん



「き〜よ〜は〜る〜くんっ!」


「ヒャハーッ!びっしょ濡れ女教師いっただきィ〜?」



俺サマの仕掛けた素敵な水バケツを頭からかぶったびちょびちょのブチャをカメラにおさめる。



「こらーっ!カメラ寄越しなさーい!」

「寄越すかっつーの!キシシッ」



顔を真っ赤にして怒るブチャを見ながら後向きで駆けていくとドンッと何かにぶつかった。




「ってェなー…」

「Shit!清春、気を付けろ!」

「アァ?カベかよ。」



その言い方が気に入らねぇのか、ぶつぶつ文句を言うカベの目があるものに止まる。



「なんだ担任、びしょ濡れじゃないか」



カベの目線の先には俺を追っかけてきたブチャの姿。



「翼くん!ちょっと清春くん捕まえといて!」

「はぁ?なぜ俺が。」



ブチャの呼び掛けに呆れながらもまんざらでもねぇ顔をするカベ。



「清春、いくらなんでも相手はladyだぞ?ほどほどにしとけ。」

「ウッセー、テメェになんか捕まンねぇヨ!」



偉そーに説教たれてきやがったカベの腕を抜けて、廊下を走っていけば後ろからカベとブチャの批判の声が聞こえる。



角を曲がったとき、なんでか俺の足が止まった。

しかも、隠れるように壁から頭だけ覗いてアイツらを見るように勝手に体が動く。



(…なんだ、これ。)






そこにはびしょ濡れのブチャをタオルで拭いてやるカベ。

こっからは何話してンのかわからねェけど、ときどき笑みをこぼすブチャ。



(チッ、なに話してンダヨ)




意味わかンねーケド、イライラしだした俺は今きた道を戻ってった。





「清春のイタズラも困ったものだな。」

「なんで最近はここまでひどいのかしら」



やっと聞こえてきた2人の会話に、口元が緩み自然と足が速くなる。





「それはァ、オマエが嫌いだからだっつーのー!」

「へっ」



そう言ってカベとの間に割り込むと、反論を言わす前にブチャの唇へ噛み付く。



「んんんっっ!!!」


目を見開いて、俺の胸を押し返すブチャの手首を捕らえる。




「っ、ごちそーさん、ブーチャ?」


唇を離してそう言ってやれば、さっきよりも更に顔を真っ赤にするブチャ。




「なななっ!なんてことっ!!」

「舌入れてねェンだからいーダロ」


「いっいいわけないでしょ!!」



外国じゃするダロ?とカベのほうを見ればもうカベの姿はなかった。





「な、なんでこんなこと…、」

「アン?」



だいぶ小さくなった声にブチャの方を見ればうつむいていて、握られた拳が震えてみえた。



「わ、…私のことが、嫌い…だから?」

「……、」




ゆっくりあげた顔から目をそらすことはできなくて。

目を見れば、心なしか涙ぐんでいるような、ケド俺をにらんでいるような。




(だから、ンーな目ェすんなってェの)




「嫌いダヨ、バーカ。」

「っ!」

「俺サマだけを見ないオマエが嫌い」








だから早く気付け。

俺はもう気付いたんだってェの。
このチクチクしやがる痛みに。




♯翼は空気の読める永田に連れ去られたようです。





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