久しぶりに2人で外に出かける休日に悠里が熱をだした。
「ったく。お前はトロくせぇンだっつーの!」
最初は隠していた悠里だったケド、俺サマの目に欺けるわけもなく今悠里はベッドの上だ。
「…ごめん。」
熱のせいか本当に申し訳ねぇと思ってンのか、スナオにちいさく謝る。
いつもはあんなウッセーくせにこんなときだけ、つぅかこんな目も潤んで顔も火照ってるときにかぎって、こんな態度とられて調子狂う。
「それは出掛けれなかったことにたいしての謝罪か?それともー外に出た瞬間にぶっ倒れて俺サマに運ばせた謝罪ィ?」
「う…、どっちも、迷惑掛けてごめんなさい。」
咎めるように言えばシュンとして布団を顔の方まで持ってあげやがる。
「んなこと迷惑だと思ってネェ。」
それを強引に引き剥がせば、唇を噛んで泣きそうな顔。
「バッカ!なに噛んでンだよ、傷になっちまうダロォが!」
ほっぺたを両手で掴んでぐにゃぐにゃと引っ張ってやればされるがままな悠里。
チッ、だから調子狂うっつってンだよ。
「別に俺サマはお前と出掛けれなかったってことトカ、重い体を運んでやったトカ、んーなことで怒ってるわけじゃネェんダヨ。」
「やっぱり、怒ってるよね。」
「それは、お前が調子悪ィの俺サマに黙ってたからダ!」
コイツの体調が悪くて目の前で倒れられたのは2回目だ。もう絶対あんなになるまで無理させネェって誓ったのに。
「でも、」
「でもじゃねぇ。いいから寝とけ。」
そう言い冷製シートをとってこようと立ち上がろうとした瞬間。
「なっ、なんだヨ。」
弱々しい力で服の裾が捕まれた。
「あ、その…どこいくの?」
まるで帰るなと言いたそうな目でみてくる悠里。
「冷製シートとってきてやるだけだっつーの。」
そーんなに悠里チャンは俺サマに帰ってほしくないんデスカー?
ずっとこっちのペース狂わされてっから、少し意地悪してやろうと言ってみた。
「…帰らないで、ほしい……。」
でも悠里から出てきた言葉はいつもみてぇな動揺したものじゃなくて、スナオすぎる小さな声。
「……っ」
チョー不本意ダケド、んな不意打ちにやられたのはまぎれもなく俺サマのほうで。
「てめーホントはやく治せヨ。」
ボソッと呟いて、悠里の唇に自分のを重ねようとした。
「だっ、だめだって!」
風邪移っちゃうとか言いだす悠里に、お前がわりぃンだよ。と言って抵抗する手を掴む。
「それになァ、バカは風邪ひかねぇってよく言うダロ?」
そう言い終えて、少し熱のこもった唇にやさしく自分のを重ねた。
♯夏風邪はバカがひくんですけどね
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