『拝啓 僕の大好きな人
君と別れて、六回目の桜の季節となりました。
元気ですか?
僕は、君と居た時の癖がいつまでも直らなくて、苦笑いの毎日です。
今年も桜はきれいですね、君は見ているでしょうか?
僕等二人寄り添って、愛の確認をした季節、君は覚えているでしょうか?
君の蜂蜜色の髪に、絡みついた花びらに何度も嫉妬した事を、今でも鮮明に覚えています。
君は今、幸せですか?
君は今、恋をしていますか?
君が幸せであれば、僕も幸せです。
ねえ、君は――――――――……‥』
届かぬ手紙をひたすら書いて、届かぬ思いをつのらせて、
誰も気付かぬ涙を流した所で
君と桜を見ることは出来なかった。
桜ひらひら舞い落ちて、二人並んだあの頃はもう、
(記憶でしかない)
(過去形のはなし)
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