夢だったらいいのにな。
君の告白も僕等の恋路も、すべて、すべて。
夢だったらいいのにな。
嘘だったらいいのにな。
この世界は幸せで、大好きで、愛しい君がいて、
可笑しいな、大好きなのに、大好きなのに。
滑稽だった。
何かの拍子で、この世界が壊されたら。
この、幸せで成り立っているパズルの1ピースが外れて、すべて崩れてしまったら。
そんな結末が怖いから。
そんな空想の結末が本当にきてしまったら。
嗚呼、滑稽。滑稽だ。
だから僕は、行動にでた。
――――――――――――……‥
「景ちゃん、ちょお話があるんやけど…」
嗚呼、滑稽。
言うな、言うな!
別れたくは無い!!
お前が次に紡ぎ出す言葉、それは別れに違いない。
そう思った。
「侑士…言わないで」
「え…?景ちゃん!?」
次にお前が言おうとした、『景ちゃん』は、途中で俺が掻き消した。
嗚呼、滑稽。
これが、すべて夢だったらな。
君が僕の前に倒れているという事実、
僕が濡れた刃物を持っているという事実、
君から流れ出る赤い体液が、僕の靴下を汚している事実。
すべて、すべて夢だったら。
「侑士、愛してるよ」
この愛も全て夢なら。
滑稽でしかない此のセカイ。だけど笑う気力もなくて。
(夢で君に会えたなら)
(どんな結末でも良かったのに)
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