今日はエイプリルフール。
そんな日に、俺は学校で仕事だった。
一人でするには少し鬱になる作業で、誰かと二人でやりたいものだ。
そこで、俺が呼んだのは忍足だった。
樺地は呼ばなかった。樺地は姉夫婦の手伝いでいない。それは今日最初の嘘だ。
「持つで」
「わりいな」
忍足は来るなり用紙を運ぶ手伝いをしてくれた。忍足は、優しい。だから好きだった。
一人ですれば鬱になるような作業。二人で(しかも好きな人と)ならばもう、気が散ってしまって仕方がない。けれど忍足は、そんな俺を気にもせず作業を繰り返してくれた。
なんて、情けない。
作業が全て終わり、柄にもなく俺は「ありがとう」を口にした。
すると忍足は。ああ、本当、わけわかんねえ。
「好きや」
どうして?
そんなわかる嘘をつかないで。
だからって、俺も好きだだなんて言えなくて。
「俺は嫌いだ」
どうか、気付いてよ。
(だって今日はエイプリルフールなのだから)
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