目の前にある、大量の皿の山を眺める。ただしくは、その皿に囲まれている人物なんだけれど。


「アレン、よくそんなにも食べれるよね。見てるこっちがお腹一杯になりそうだよ」


アレン、と呼ばれた人物は食べる手を止め、顔をあげる。

「はは・・・寄生型ですからね。逆に名前は量少なすぎですよ!もっと食べたらどうですか?見てるこっちがお腹減りますよ!」

「えー!?あたし結構食べてるよっ。食べ過ぎだから減らさなきゃいけないぐらいなのに!」


あたしが気張って言えば、アレンはそうですか?と言った。


「そんな事言う割には名前って十分細いですけどね」

当たり前のように、サラッと言ってまた食べ始める。・・・この英国紳士はどこで女の子を喜ばす知恵を身につけたのだろう。いや、英国紳士だからか?・・・似非のくせに。でも今、あたしが顔を赤らめてることにはきっと、気づいていないだろう。アレンが食べてる膨大な量のなかで、名前はひとつ目をつけた。


「ねぇアレン。アレンが今食べてるそれって美味しいの?」

「美味しいですよ」

ジェリーさんが作ったものなら何でも!と付け足す。


「・・・じゃぁ、一口頂戴?」

「ちょ・・・っ、名前?」

身を乗り出してアレンからスプーンを奪って一口分もらう。焦るアレンを横目に、名前は高鳴る胸を押さえつけた。そんなあたしの気も知らず、アレンはまた平然な顔に戻り、「美味しいでしょう?」と聞いた。






せめて間接キスくらい
(平然を装いたいんだから・・・)
(こんなにもドキドキしないで)


090403 Fri
091001 Thu 加筆修正



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