第三話
白石side


三年が引退して、部長に成ってからの生活は大きく変わった。

まあ、部長として、部をまとめていかなあかんくなって、それなりに忙しくなった。

それは予想の範囲内やったし、まだそんなに気にする事も無かった。

部長になった時の周りの反応は様々で、
変わらずに接してくれるやつや、妙にギクシャクするやつ。

まだこれも予想の範囲やった。


ただ、一つだけ困っとる事があって、
やたらと先輩達からのいじめが酷かった事やった。

まあ、自分たちを押しのいて一年が部長になる言われたら、
多少の反感はかうと思っとったけど、
まさか此処まで陰湿に来るとは思わんかった。


それでも、間接的やったからまだまだ良かった。

それも、今日までやったけど。



「白石、ちょぉ、来いや」

部活中に先輩達からお呼び出しがかかった。
それも不真面目なグループの人たちや。

正直言ってついてくのはいややった。
やけど、ついていかんと後が面倒やし、素直に従っとった方が得策なんは考えんでも分かる。

俺は黙って先輩達の後について行った。


あーあ、部活サボってしもうた。



連れてこられたのは、古い体育倉庫の前やった。
今は物置やから、誰も通りかからんし、
ある意味ベストスポットって訳やな。

この人等にはお似合いな場所や。


その後はただ暴言を吐かれたり、殴られたり。

オサムちゃんに媚売ったんやろとか
優等生ぶりやがってとか
ふざけんなって思ったわ。


俺は完璧のためなら努力は惜しまんかったし、
見返りを求めとった訳や無い。
そりゃあオサムちゃんに認めてもらえたのは嬉しかったし、
それのおかげで部長にもなった。

努力は必ず実るなんて事言わんし、そんな考えももっとらんけど、
たいした努力もせん癖に、俺の事何も知らんくせに、
俺の全てを否定されるのが辛かった。苦しかった。


上辺だけしか見んこいつ等が憎かった。



部活のために、と大した抵抗もしないで力を抜いていた手に力がこもる。

なんで、なんで俺だけこんな目にあわないかんのや!




「みーつけた」


突然届いた第三者の声に、俺は弾かれる様に前を向いた。
そこには謙也君がたっとった。

 

なあ、謙也君。
謙也君は俺のこと裏切らんよな?



side end



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