第一話
全国に出た先輩達は、そこそこの所まで上り詰めたらしく、

校内での注目の的だった。


引退した先輩達の後釜を埋めるべく、
新しく部長になったのはやはり白石だった。


本人がなると決めたのだから何も言わないが、
やはり先輩達と折り合いがつかないのか、

地味な虐め…いや、悪戯か?
物が無くなったり、ロッカーが荒らされたりしているらしい。

まあ、本人も承知の上だろうし、
下手に手を出そうもんなら迷惑になりかねない。


だから俺は、ある程度の事は気付いてないように振舞ってきた。


…のだが、



流石に今回は無理だろう。



「自分ら、なにしとんねん」






ーーーーーーー
ーーーー



部活中にふらりと居なくなった白石を探しながら校庭を歩く。


何時もだったらたいしてきにする事も無かっただろうが、
今日はやけに胸騒ぎがした。


こういう時、面倒な事が起こるのは前世の時からである。


校舎裏、体育館裏、ゴミ処理場の近くなど、

とりあえず人がいなさそうな所を片っ端から探す。


「ああ、ほんまかったるい」


言葉とは裏腹に歩く速度は速まり、
もう走っていると言っても過言ではない。


近年虐めによる死亡者が増えているのは、
いじめ自体が昔より陰湿で手加減が無いからだと思う。


いや、手加減の仕方を知らない。の方が正しいか。


何処を如何やって殴られるとどの位痛いのか、
どの位やると体に支障が出るか、
全く持ってわかっていない奴らが多すぎる。


下手すると、打ち所が悪くて最悪死に至るケースもあるのをわかっていない。


死という物に危機感がないのだ。





奴らが居そうな所を虱潰しに探しながら走った。


…残るはあと一つ。
あそこじゃなかったら、もう何処にいるか分からないな。


そう頭で考えながら、更に走るスピードを上げて目的地に向かう。


向かう先は体育器具庫。

その器具庫は物置部屋のような物で、
あまり人が近づかない。

更には少し奥まった場所にあるからそういう輩が多く、
ほとんどの人が近づかない様になっている。


目的地を目の前にして、
足音を立てない様にしてこっそりと向こうを覗く。


そこにはミルクティーブラウンの髪の少年と、
その周りを囲む5.6人の男がいた。


口元が歪むのを感じながらポツリとつぶやく。


「みぃーつけた」







[*prev] [next#]






「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -