その日も何時もと変わらず部活をしとった。

相変わらず跡部は俺様やし、
岳人はぴょんぴょんと飛んどった。


宍戸と鳳は青春の1ページ飾っとったし、
ジローはどっかで寝とるのか部活にも来とらんし、
樺地はジローを探しに行っておらん。

日吉は下剋上だと言いながら跡部をガン見しとるし、
(まぁ勉強熱心なのはええと思うけど、ちょっとなあ)


相変わらず個性の強い集団や。
まあ、そんな俺も個性が強い方だと自覚しとるけど。


「俺様の美技に酔いな!!」

「「「「キャーー!!!」」」」



流石にあれには敵わんわ。

「おい侑士!何ぼーっとしてんだよ!!さっさと練習始めるぞ!!」

「あんまり急かさんどいてやがっくん。今行くさかい。」


「何言ってんだよ!夏までもう時間が無いんだぞ!?
今急がなくて何時急ぐんだよ!!」

「ほんならがっくんはスタミナつけんとなぁ……」


「くそくそ侑士!黙って練習出来ねーのか!!」



図星をつかれてキレとる岳人。
これが俺らのコミュニケーションの取り方や。

ぱっと見凸凹コンビやけど、結構上手くやれとるのも、
多分岳人のお陰やと思う。

岳人は割と洞察力が有る方やから、
こっちも楽に組めるから嬉しいもんや。


これがジローとかやったら…
あかん考えただけで恐ろしいわ。


「おい侑士!!いい加減チンタラするなよ!!」


相当ご立腹の岳人に苦笑をして歩き出そうとした時、
ふと跡部が視界の隅に入った。

さっきとは違い水分補給の為やろう、あいつはベンチにおった。


跡部は他人に自分の弱い所を見られるのを
極端に嫌っているが故に、自己管理を怠らん。

少しでも違和感を感じたらすぐにでも違和感を無くす方法を考え実行する。

更には自分が人の上に立っている事を自覚し
氷帝に恥じないように行動をしとるんや。


跡部のリーダーシップ制には感嘆の念を抱かざるおえん。
まあ、偶にずれとる所が有るんやけど、
お坊ちゃんやから仕方ないわなぁ………。


視界を跡部から岳人に戻そうとして急に視界に入ってきた物体に目を見開いた。

その物体が跡部へ一直線に向かっとった。
ベンチに向かって立っとる跡部は当たり前やけど、それに気付いとらんくて、
その事をほぼ直感的に判断した俺は、
その物体が何かも判断することもなく跡部に向かって走り出しとった。



冷静になって考えれば、
テニスコートで飛んでくる物体なんてテニスボールしか有り得んのに、
そん時の俺にそんな余裕は無かった。


跡部の腕を掴んでおもいっきし俺の方に引っ張った。

跡部への物体の衝突を避けたのはええけど、
跡部を引っ張った時の遠心力で俺は今まで跡部がおったところに立ってしもうて、


それに気付いた時には、頭に強い衝撃を受けとった。



思っていた以上に物体のスピードが速かったのか、
それとも打ち所が悪かったのかは分からんけど、


薄れていく視界に映ったのは、
跡部の驚きに満ちた顔と、こっちへ走ってくるメンバーの皆やった。








―――――――――――――――
―――――――――――
―――――――






夢を見とった。



特別に何か有った訳でも無い。


いたって普通の、日常をそのままに映し出した様な夢やった。



皆で声出して、走って、黄色いボールを追っかけて、


「テニスって楽しいな!!」


誰が言ったか分からんけど、その言葉に皆で笑いあって、



なんかよぉ分からんかったけど、涙が出そうやった。









目が覚めた時、最初に見えたのは
心配そうに顔を覗き込んどった跡部やった。


「っ、目ぇ覚めたか忍足。」


「ぁ、とべ?…あれ、此処、何処やった?」


いまいち状況をうまく理解できんでおると、
跡部の横からワインレッドの髪の毛がひょっこりと顔を出した。

「ゆーし起きたのか?」

「…岳人。」



覚醒しきらない頭でぼーっとしとったら、
ベッドの周りをレギュラー達がわらわらと囲んどった。

「お前頭大丈夫かよ」

「……は?」

宍戸が心配してます。と書いてある様な顔で頭は大丈夫かときいてきたから、
一瞬何を言われたのかわからんかった。


「…忍足部活中に跡部を庇って頭にボールが直撃したんだC〜」

俺が困惑しとるのがわかったのか、
珍しく覚醒しとるジローが補足してくれた。


「…ああ、そやったっけ、まあ、大した痛みも感じんし、よっぽど大丈夫やろ」


一様念のため病院で見てもらわなあかんけど、と、付け足しながらも返せば、

あからさまにホッとした顔をする皆に、内心むず痒く思いながらも笑顔をむけた。


「忍足、…その、悪かったな。」


和やかなムードの中、
突然告げられた謝罪に、皆の顔がそちらを向く。


「別に、跡部のせいや無いよ。俺が勝手にやった事や、跡部か気負う必要は無い。」

「だが、」

それでも食い下がる跡部。
まあ、人一倍責任感が強いからなあ、
しゃあないっちゃあしゃあないなぁ。

でも、俺は気にしとらんしええんやけどなあ。

困り果てた俺に気付いたのか岳人が助け舟を出してくれた。

「まあ、ゆーしが良いって言ってんだから良いじゃねーか!」


「そうだぜ、本人が許してるのに謝り続けるとか、激ダサ」

「宍戸さん、そんなにストレートに言っちゃダメですって!
もっとオブラートにつつまなきゃいけませんよ」


「……ウス」


岳人に便乗した宍戸に、天然なんか、逆にオブラートに包めとらん鳳。
相変わらずウスしか言わん樺地。


跡部も、元の俺様な雰囲気に戻って安心した。

やっぱり俺様やない跡部は気持ち悪いしなあ。


「それにしても、大事に至らなくて良かったです。」

珍しく日吉が心配の言葉をかけてくれた。

「なんや、日吉が人の心配とか珍しいやん」

「何を言っているんですか。忍足先輩も、俺にとって下剋上の相手ですから。
こんなと事で消えてもらっては困ると思ったまでですよ」

「日吉ってばそんな事言って、本当はすごく心配してたでしょ?」

「うるさい、黙れ。」

話している日吉と鳳を皆暖かい目で見とった。

ふと、時計に目をやると、部活終了時間から、もう一時間以上経っていた。

「そろそろ帰らなあかんなあ」


「え〜?ってマジマジ外めっちゃ暗いC〜!
跡部ぇ〜帰るの面倒くさいから、家まで車がE〜!」

「アーン?…ふっ、良いぜ。今日は特別に全員送ってってやるよ!」


「跡部太っ腹ぁ!マジマジ嬉C!」

「良かったですね、宍戸さん!」

「…激ダサ」

「クソクソ、頼んでねーよ!」

「…下剋上だ」

「…ウス」


皆が皆楽しそうで、痛いのは嫌やし、誰かが傷つくのも見たないけど、たまにはこんな事があってもええかなって思った。







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あとがきという名の反省。


水城様リクエストおりがとうございましたm(_ _)m
大変長らくお待たせしてしまって申し訳ありませんでした。

今回のリクエストは、
跡部を庇ってけがした忍足を皆で全力で心配する話

でした、

が、
あれですね、まさに残念の塊ですね。

反省をさせていただくならば、
まず、
心配してる要素が皆無でしたね。
皆個性が強すぎますよ…ええ。

次に、
喋り方が…わかりません\(^p^)/
鳳がオネエみたいになってしまった。


そして最後の反省。
最初は、跡部が誘拐されるとか、先輩達にリンチされるとか、考えていたんですがストーリー的に(私の頭が)無理だ(^p^)と思ったので、
不慮の事故?という事にしました。


あれですね、
「俺様の魅力は、無機質さえも引きつけてしまうのか。全く罪な男だぜ!」
「どないしたんや跡部。
キャラ、変わっとるで…。」

って、感じです。


此処まで読んで頂きありがとうございましたm(_ _)m

この小説は、水城様のみお持ち帰りいただけます。それ以外の方のお持ち帰りは、一切禁止です。よろしくお願いします。

もし、気に入らない、変更して欲しいと思う所があれば、水城様限定でお気軽にお声をおかけ下さい。


それでは、


アデュー






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