「葦木場くんは大きいねぇ」
「オレからしたら皆小さいねぇ」
「どんな景色なんだろう、想像つかないや」
「なら見せてあげるよ」

隣の席の葦木場くんと日直の仕事中、葦木場くんを見上げてつい「大きい」なんて口走った

どんな景色なのか想像の付かないくらいの背の高さに私はいつも凄いなぁって思ってたから思わず、で

そしたらその景色を見せてあげるなんて言うから私の頭上はクエスチョンマークが飛び交ってたと思う

ゴミ捨てを一緒に行って教室までの帰り道「景色、まだ見たい?」なんて聞くから思わず頷いた

そしたらおもむろに私を抱き上げたから私は驚きの余り声が出なかったと思う

停止していた思考が、正常になった時私は

「お、お、重いでしょ、葦木場くん下ろして下ろして重いから!」と大きな声で言った

「全然重くないよ。ね、オレの視界はこんな感じだよ」
「わぁ、凄いね。想像以上に高いね」
「うん。だから頭ぶつけてばかりだよ」
「ホントだ。ここにタンコブ出来てるね」

普段は触れる事の出来ない高さにある頭を、そっと撫でればコブが出来ていた

痛そうと思って撫でれば葦木場くんは何故か嬉しい、みたいな顔で笑ったから何だか急に恥ずかしくなった

「も、もう降りようかな。やっぱり重いでしょ」
「そんな事ないよ。凄く軽いし想像以上に何か柔らかいねー」

とニコニコして言うけれど…
葦木場くんの腕の上には私のお尻があるし、抱き上げられたときにお腹掴まれたっけ

そう思ったら恥ずかしくて何も言えなかった

その意味を後日、黒田くんに教えられた葦木場くんに

「女の子のお尻とか触っちゃって、ごめんね」と謝られたから「気にしてないよ」と言ったけど

「ダメだよ!オレ、ちゃんと責任とるから!」

って言うから何の責任!?そんなの何もないよって言ったのに、葦木場くんは斜め上を行く言葉を発して目ん玉飛び出るかと思った

「オレ、ずっと守るから!だから結婚して下さい!ご両親にも挨拶に行かなきゃだね」

更に福富さんにも相談してたらしく、生娘の尻を触るなど言語道断
きちんと責任を取れ!と言われた…と

どうかしてるよ葦木場くん

て言うか生娘って今時聞かないけど…福富さんて自転車部の主将だよね
見た目もお堅い感じだけど想像以上だ

「責任とか本当に大丈夫だから。それに結婚とか守るとかそう言うのはちゃんと好きな人じゃないとダメなんだよ」

「え?好きだよ。好きだから守りたいし結婚したいんだけど。1年の時からずっと好きなんだけどなぁ。ダメ?」

謎の責任感だけではなく、私に恋心がある事をちゃんと伝えられたから私は思わず「うん、いいよ」と頷いた

屈んでダメ?なんて可愛く言われたら、ダメなんて言える訳もなく

私が頷いた事を両手を広げて喜ぶ葦木場くんは本当に大きいなぁと
その葦木場くんは身長だけじゃなく、心も広くて大きい人だと改めて感じる位毎日甘やかされる事になるなんてこの時は思ってもみなかった





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