あかん

明日はワイの誕生日
今までは当たり前のように祝ってもろて気分良く過ごしてたんやけど、今年はどうしても祝って欲しい人がおる

同じクラスのアオちゃんや


少し前からLINEでそれとなーく誕生日はアピってたし、あわよくばプレゼントとか貰えへんかなって
あわよくば付き合えへんかなーとか

って何で付き合う所まで話が飛ぶんや
あわよくばあわよくばって欲だらけやんけ

あかん、そこまで望んだらあかん
別におめでとうって言うてもろたらええやん
高望みしたらあかん

あーー!そう言えば今夏休みやん…アオちゃん帰宅部やん…
あかん、無理や会えへん
自分から会いに行かな会えへん

あかんあかん喧しいちゅーねん

来てもらえばええやんと思うねんけど、なんかこう…なぁ?

情けな!!自分情けな!!
こんなんスカシに見られたら馬鹿にされるんが目に見えとる

でもやっぱ会いたいやん
何もろてもアオちゃんのおめでとうの言葉が1番のプレゼントやと思うねんな

…ってワイは乙女か!!


0時を過ぎたら鳴り止まないLINE
かっかっかー!人気者は大変や!

あ!!!アオちゃんや…

アオちゃんの名前が見えた時、思わず胸が高鳴った

深呼吸して画面を開く

「鳴子くん、お誕生日おめでとう!明るくて優しい鳴子くんと同じクラスになれて良かったよ。本当は直接おめでとうが言いたかったけど今まだおばあちゃん家だからまた改めてお祝いさせてね」

終了ー!はい終了ー!
今日はあかんねんな、しゃーないしゃーない
しゃーない、おばあちゃん家やし
おばあちゃんは大切にせなあかん
アオちゃんは偉い

せやけどやっぱりちょーっと会いたかった…

ん??ちょっと待て待て待たんかーい!

改めて?あ!ら!た!め!て!お祝いしてくれるって書いてあるやん
今日じゃなくてもかまへんかまへん
いやー最高の気分や

単純なワイは全てをいい方に捉えて
今日の部活も絶好調やった


学校行ったらいろんな奴らに祝ってもろて、あー今日もええ日やったな
プレゼントも鞄いっぱいやし


…それにしても昨日のLINE、アオちゃんに返事返してから返事こーへんかったな
しゃーないねんけど、寂しいもんやな

や、忙し中LINEくれたやん
それだけで充分思わなバチ当たるわ

今日は帰ったらワイの好物が家で待っとるし
結局トータルしたらめっちゃええ日やったな


風呂も入ってさぁ寝るかと布団に入る
誕生日もあと30分で終いか…なんて感慨深い気持ちになってたらスマホの着信が鳴り響いてビックリした

「え、アオちゃん…??」

ビックリしすぎてスマホ落としかけたやん
嬉しい気持ちを少し抑えて電話に出た

「アオちゃん?どないしたん?」
「あ、鳴子くん今家??」
「せやけど」
「少し会えない??」
「は!?今から!?何で!?」
「おばあちゃん家から帰って来たんだけど…鳴子くんの家の近く通りかかって…」
「今、誰かといてるん?」
「え、私だけ先に帰ってきたから1人だけど」

1人…?こんな夜道にアオちゃん1人…??そらあかん!

「危ないやん!すぐ行くわ!今どこ?」
「えと、多分鳴子くん家の近くのコンビニかな」
「行くから待っとってや!絶対動かんといてな」
「うん、何かごめんね」
「かまへんかまへん!」

部屋着のままやけど、そんなん言ってられへん
急いでチャリに乗ってコンビニへと向かう
そしたらアオちゃんがおった

中におったらええのに外におって
笑顔で手を振るアオちゃんは可愛てしゃーない

「鳴子くん、ごめんね」
「かまへん!どないしたん?」
「誕生日…おめでとう!!」

ちゃんと言いたかったんだぁと笑うアオちゃんに見とれてもうた
あかん、可愛いすぎる…

「おおきに!会えると思ってへんかった。おばあちゃん所ええの?」
「うん、どっちみち明日には帰るつもりだったからほんの少し早まっただけだよ」
「そうか。まぁワイは直接言って貰えて嬉しかったけどな」
「うん、私も直接言いたかったから…」
「えっ…」
「だから帰って来ちゃった」

ちょ、ちょい待ち…ワイにおめでとう言う為に帰って来たとしか聞こえへんのやけど

思わずそう言えばアオちゃんは一旦目を伏せてからこっちをジッと見て

「そうだよ。鳴子くんの誕生日に直接会いたかったから帰ってきたよ。鳴子くん、生まれて来てくれてありがとう。鳴子くんと一緒にいると元気出るし、楽しい。そして鳴子くんは凄く優しい。部活も一生懸命で素敵だし。一緒のクラスになれて嬉しかったし仲良くなれて嬉しい。いつもお日様みたいに明るい鳴子くんが私は大好きだよ」

「は…?え…?す、す、好きってその、クラスメイトとして好きやわー!ちゅー奴?それともなん…」

「えっと、男の子として好き!!…です…」

「ホンマに?」

「うん、鳴子くんの傍に居れたらいいなって…あの
、わっ!」

嬉しくて勝手に体が動いとった
もう我慢ならんくてアオちゃんの事抱きしめてもうた
いい匂い可愛いあかん

「ワイもアオちゃんが好きやねん」
「本当に?」

当たり前やん
嘘つく理由もあらへんわ

ここは男らしく行かなあかんと思って抱きしめた腕を解いてアオちゃんをちゃんと見て

「ホンマやで。アオちゃんが好きや。なぁ、アオちゃんワイと付き合って下さい」

緊張して変な汗が出る
せやけどビシッと言わな男が廃るやろ?

「はい、喜んで」

そうやってはにかむアオちゃんは反則やと思う




その後、今日はアオちゃんは家に1人やし、もう少し話したいしっちゅー事で一緒におる事になった
明日丁度部活も休みやし
や、休みやなくても一緒におったけど

せやけど好きな子と、夜に、好きな子の部屋で、体温感じるくらい近い距離感で隣におって…あかんやばいちゅーしたい

いやいや、付きおうて1時間弱で手出すとかあかんやろ
抱きしめてしもたけど、ちゅーは別やん

誰かがちゅーは付きおうて数週間とか1ヶ月とか言っとったし


「ねぇ鳴子くん」
「ん?」
「プレゼント用意してなくてごめんね。また何かさせてね」
「そんなん、かまへんよ。アオちゃんが彼女になってくれた事がワイにとって何よりも1番嬉しいプレゼントやで」
「鳴子くん…恥ずかしいこと言わないでよ。でも何かないの??」
「そーやな…」

なになに!?と目をキラッキラさせてるアオちゃんが可愛て可愛て…

「ちゅーしたい」

「え!?」

思わず言ってしまった言葉に焦る
絶対引いてるやん、アオちゃん
あかんと思って誤魔化すように、なーんてなって笑って誤魔化した

そしたら頬に柔らかい感触

頭が一瞬混乱したけど意味がわかると顔赤くなったと思う
やけどアオちゃんの方が顔真っ赤にしてて

「口にするのは恥ずかしいから、鳴子くんからして」

そう言ってアオちゃんは目を閉じた

えっ、なん…ええんか?

「アオちゃん、ええの?」

そのままアオちゃんは小さく頷いた

肩に手を置いて近づく…けど、ここは頬か
頬に手を添えれば緊張してきた
あかん、口から心臓飛び出しそうや

そやけど、多分アオちゃんも恥ずかしいハズやのに言ってくれたんや

意を決してゆっくり唇を重ねた

アオちゃんの唇の温かさ、柔らかさに目眩がした
そして唇を離して近距離でアオちゃんと見つめ合えば何とも言えない感情が込み上げて思い切り抱きしめた

「あかん、アオちゃん可愛すぎ!好きや、好きやで」

「うん、私も」

大好き…の言葉が耳を擽る
ワイは世界一の幸せモノや




HappyBirthday 鳴子章吉くん












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