いじわる

女の子は好きだよ

みんな優しいし

お腹減ったなーって思えば何か貰えるし、宿題も見せてくれるし(委員長は別として)、応援もしてくれるし

みーんな同じだけ可愛いと思うし好き
でもそれだけなんだけど

だけどアオさんは別
もっと優しくして欲しいし甘やかしてほしい

抱きしめたら優しい匂いがするしそれがオレは好き
「真波くん、頑張ろ?」ってあの優しい声でもっともっと言って欲しいしオレだけを応援して欲しい

けどアオさんはマネージャーだし皆平等に応援してるし

オマケに好きだって言ってんのに全然聞いてくれないし、信じてくれない

抱きしめても「はいはい」って流されちゃうし、どうしたらオレのものになってくれるのかなぁ?

なんとなく何にも知らないフリして甘えるのもめんどくさくなってきた

オレ、言っても男だし

アオさんは全然、そんな風に見てくれてないけど

「アオさーん」
「あ、真波くんお疲れ様。今から自主練?」
「うん!ねぇアオさんオレが帰ってくるまで待ってて」
「いいよ。まだまだやる事あるし。待ってるから気をつけて行ってらっしゃい」

オレのお願いもあっさり聞いてくれるけど

「うん、頑張れるようにおまじないかけて?ここにキスしてよ」

自分の頬を指させば、アオさんは顔を真っ赤にして怒るんだ

「馬鹿なこと言わないで行ってらっしゃい!」

なんでダメなんだろう

「ちゃんと好きなのに」

「か、からかうのもいい加減にしようね?さっ、行った行った」

本当にわかってないよなぁ


山を登って気が済んだところで学校に戻る
そしたらちゃんと待っててくれて、嬉しくてアオさんに抱きついた

あーいい匂い

「ちょ、ま、真波くん!離してよ」
「だーめ。無理ですよ」
「もう…本当にからかわないでよ…」
「からかってなんかないですよ」
「とにかく!早く着替えなよ。汗かいてるし風邪引いちゃうよ」
「はぁい」

オレは抱きしめていたアオさんを離して、そのままジャージのジッパーを下げた

「ちょ、ちょっと真波くん!何でここで脱ぐの!あっちで着替えてよ!」

アオさんが顔を真っ赤にしてて面白い
そんな顔を見たら少し意地悪したくなるよね

「えー何でですかぁ?ここ、部室だし。ここで着替えるのって普通でしょ」

「そうなんだけど、そんな目の前で…」

「やだなぁ。照れてるんですか?こんなの見慣れてるでしょ?なのに照れるんだー」

そう、見慣れてるじゃん絶対
いつもほかの人達が着替えてても脱いでてもなーんにも気にしてない癖に

オレだから意識してるの?
そうだったら嬉しいなぁ
…って思ったらゾクゾクしてきた


「そんなんじゃないけど、びっくりしただけ…ねぇ早くあっち行って着替えてよ、真波くんのロッカーあっちでしょ」

「嫌…って言ったらどうする?」

アオさんに1歩近寄ったら、アオさんは1歩後退る

顔真っ赤にして視線泳がせて、たまんない
もっともっと困らせて、もっともっと頭の中オレだけでいっぱいにしたい

「意地悪言わないでよ…もう、からかわないで!」
「だから、からかってないですよー、ねぇアオさんはオレが脱いでドキドキしてくれてるの?」

だったら嬉しいなぁともう1歩近づく
そしたらまたアオさんは後退るけど、後ろはロッカーでもう後退る事は出来ない

オレはそのままロッカーに手をついて
えっとこれって所謂壁ドンってヤツ?
女の子が好きなシチュエーションって誰かに聞いたっけ

アオさんもそう言うの好きかな?

顔を覗き込めば、視線を彷徨わせてて面白い
どこを見てもオレだからきっとアオさんの頭の中は今はオレの事でいっぱいだろうなって思うと、やっぱりたまらない

「真波くん…お願いだから離れてってば!近いよ〜」
「嫌です」
「お願い」
「アオさんいつもオレのお願い聞いてくれないからオレも聞きません。ねぇ、こっち向いて」

それでもこっち向いてくれないから、無理やりこっちを向かせた
アオさんのほっぺたあっつい…

涙目でこっち見て、可愛過ぎるでしょ

「アオさん」
「なによもう……」
「オレ、本当に好きなんですけど」
「絶対ウソ」
「ウソじゃないし。なんでそんな事言うんですか?」
「…他の女の子と同じ好き≠ナしょ」

何で伝わらないんだろう、困ったなぁ

「全然違うよ。2人きりになりたいと思うのも抱きしめたいって思うのも、オレだけを応援して欲しいって思うのもキスしたいって思うのもぜーんぶアオさんだけ」

またウソだ…と呟くアオさん
何で頑なに信じてくれないのか、ホント頑固

だからアオさんの手を掴んでオレの胸にその手を当てた

「女の子と2人きりになって、こんなにドキドキするのキミだけなんだけど」

オレがそう言えば観念したかのように
「わかったから…」
ってアオさんが言ってくれたからオレはすかさず
「アオさんはオレの事、好き?」
って聞いた

「…好き、だよ、もう…どうしようもない位…もう無理」

言いたくなかったのに

って下を向くアオさんがやっぱり可愛いし、さっきの言葉が嬉しくてそのまま先輩を抱きしめた

「やだ、真波くん!そんな格好で抱きしめないでってば」
「もう無理だよ。アオさん可愛い、好き」
「本当に…冗談じゃないよね?」
「だから冗談じゃないし、オレずっと本気で好きって言ってたのに」

アオさんはオレの事意地悪とか言うけどさ、意地悪はどっちですか
オレはちゃんと本気なのに、信じてくれないし

「後で嘘でしたーとか言われたら立ち直れないよ私…」

ずっとそれが怖かったって

どうしたら安心させてあげられるんだろう
オレ、あんまりそういうのわかんないや

「そんな事言わないですよ。本当にそばにいて欲しいのはアオさんだけ。オレが頑張れって言ってもらってヤル気出るのもアオさんだけ。心配なら何度でも言うよ、好き」

ちょっと位オレを信じてよって言ったら、アオさんは小さく頷いてくれたから

ここは真面目に言わないといけないな
何時だったか先輩達に教えてもらったように

「アオさん何度も言うけどオレ、アオさんが好き。オレの彼女になって?」

ちゃんと目を見て言えばアオさんが小さく「はい」って言ったから

オレは嬉しくてもう1度キツくアオさんを抱きしめた


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「アオさん、ちょっと走ってくるから待っててくれますか?」

「うん、まだ仕事あるし待ってるよ」

「じゃあ行ってらっしゃいのキスして?」

「しません!行ってらっしゃい!」

アオさんは相変わらず部活中は皆平等を徹してて、でも帰ってきて2人の時は甘やかしてくれる

それを知ってるのについ、からかいたくなるからオレは意地悪だって言われてしまう

でもアオさんの困った顔も怒った顔を泣いた顔も驚いた顔も笑った顔も、ぜーんぶ好きだから仕方ないでしょ

「アオさん!ただいま〜」

そうやって飛びついたら受け止めてくれるようになったし、ちゃんと変化はある

「おかえり」

そうやって優しく笑うアオさんがオレはやっぱり大好きだ

そのまま不意打ちでキスしたら、顔を真っ赤にして怒るアオさんが可愛くてオレはやっぱり意地悪かもしれない…と思った






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